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~異空間に……~

 「……きろ……起きろ!!」

「んん……いたたた……頭打ったかも……」

「大丈夫か」

「何とか……」

私は体を起こす。真っ暗でよく見えない……。

「此処……何処なの……?」

「分からない……。だが…臭いがする……。カビ臭い……」

言われてみれば確かに、昔に建てられて、潰れた所っぽい臭いがした。

『ソノトオリ。此処は既に営業終了した病院。ココニワタシノ恋人がイル。ワタシノトコロマデ……連れてこれれば、アナタタチの勝利。貴方達をコノ異空間から出してアゲル。ただし、貴方達が死んだり、恋人が死んだら…貴方達の負け。現実でも死んでモラウワ。……ココロヲ病ませて……ワタシトオナジ気持ちにして……自殺、サセテアゲル。まぁ、せいぜい頑張ってね』

「ちょっと! お前は何処にいるんだよ!?」

『ソウネ。場所、知らさないとネ。……私は307号室にイルワ……。それだけ伝える。恋人が何処にイルカハワタシモ分からない。後はジブンデサガスコトネ。じゃあね』

「おいっ!! ……返事しないか……。おい、歩けるか?」

「うん……何とか……。ごめんね、巻き込んじゃって……」

「いや、お前のせいじゃねえよ。とりあえず…早く恋人とやらを探して、此処を出ないと……」

「そうだね……」

私はとりあえず立ち上がる。すると私の隣で大きな影があった。

「きゃっ!!」

「!? どうした!?」

「私の隣に……大きな影が……急に……!!」

私はブルブルと震わせる。すると零士君は、はぁ…と溜め息を吐き

「……それは俺の影だ」

とだけ呟く。私はほっとする。

「はぁ…びっくりした……」

「とりあえず、俺につかまってろよ。真っ暗で見えないだろうから」

「う、うん……。ありがとう……」

「……名前、まだだったな。俺は瀬川零士。……お前は?」

「……弓月沙也加……。零士君……ありがとう……」

私は震えながら、零士君にしがみつく。零士君はこんな状況なのに冷静なんだなぁ……。


 「う~ん……ホラーゲームで定番なのが…まずは明かりを見つけなければ……。懐中電灯、ないかな……」

俺は懐中電灯を探すために、歩き始める。歩くとギィギィと音を立て、俺にしがみつく沙也加が悲鳴を上げてブルブルと震わせる。正直、これで怯えるとかありえないと思いながら、沙也加を擦って安心させた。俺はそんなに怖くなかった。何故かというと、これでも俺はホラー動画を結構見ていた。ホラーが大好きで時々友人を誘って、肝試ししたり、心霊スポットに行ったりして、友人を怯えさせた。しばらく歩くと大きい所に出た。

「ん……? あ、これか!?」

何か光っているのが見え、そこに向かうと懐中電灯があった。

「よし。まだ付きそうだな」

スイッチを押すと、懐中電灯はピカッと光った。

「これで少し見えるようになったぞ、沙也加」

「良かった……。ありがとう、零士君」

沙也加はまだ体を震わせながらも、俺から少し離れる。

「これから私、どうなっちゃうんだろ……」

「そうだな……。ホラーゲームならここから、襲ってくる敵とか…が来て、最悪死ぬことだってある…」

「死ぬのは許されないよ…? 死んだらもう…私達、負けなんだよ…?」

「そうだな……。死なないように…しねえとな」

すると背後から気配を感じ、俺は沙也加を抱えて振り向きながらヒュッと飛ぶ。

「きゃ!? ど、どうしたの? 零士君」

「……気配感じる。気を付けろ!」

俺は沙也加を守ろうと背中にやり、警戒する。何だ……この寒気……。すると姿を現す。

「!! きゃああああ!! 嫌ああああ!! 来ないでぇぇぇぇぇ!!!」

沙也加は悲鳴を上げる。今にも泣きそうだ。……ナースの恰好し腕が変な方向に曲がった化け物。

「……お前は此処にかつて…いた看護師か?」

「ぐあああああああ…………」

化け物はただ唸り声を上げるだけ。どうやらこいつらは何を話しても理解出来ないらしい。いくら説得したって無駄らしい。

「こいつらを刺激しないようにするんだ、いいな?(小声)」

「う、うん……」

「きっとこいつらの他にも化け物はいると思う。その度に悲鳴、出さないようにな」

「わ、分かった……」

「お前のことは俺が守るから。安心しろ!!」

「あ…ありがとう……零士君……」

俺は化け物の横をそっと横切った。すると

「ぎゃああああああああああああああああああああああああ!!!!!」

「まずいっ!!! 追ってくるぞ!!」

「きゃああ!!」

「走れ!!」

俺は必死に沙也加を連れて走った。化け物は猛スピードで追いかけてくる。

「何か、何か反抗出来るような物……!!」

「私も探してみる……!! 頼ってばっかじゃ駄目だもの」

「沙也加……!! 駄目だ!! 化け物にやられるぞ!!」

「私だって…やれば出来るんだから…!!! ほら、見つけた! 銃!!」

「何で病院に銃が!?」

「分からないけどあったの!!」

そう言うと、沙也加は化け物に向けて銃を撃つ。

バン!! バン!!

「ぎゃああああああ!!!!」

化け物は体が2つに割れ、血肉が分散した。

「きゃっ!!」

「……なるほどな。これで抵抗しろと……」

『あら、銃を見つけるだなんて、ヤルジャナイ。沙也加』

「あっ…梨美さん!! あの……何でこんなところに銃があったのですか?」

『ああ、それはね、ミスなの。本当は何もなしで回ってもらおうと思ったんだけど、銃を一つ、落としちゃったミタイデネ。マァ、イイワ。それは見つけた記念としてあげるわ。大事にモットクノヨ』

それを機に聞こえなくなった。

「これは予想外だったみたい…。運が良かったわ…」

「本当にな……。でもこのことで、化け物を敵に回してしまったな……」

「そうだね……それに弾があまりないみたい……」

「使い道、考えないとな……」

私達は途方にくれた。


 『梨美様、二人に銃をあげてもよろしかったのですか?』

『まぁ仕方ないわ……。まさか回収し忘れてたなんて……。でもあれは比較的に弾が少ないから…どんな使い方をしても足りなくなるはずだわ。弾はスベテ回収シテルシ……』

『支障がナケレバ…いいのですが』

『それよりも、相手も武器持ってる方が面白ソウネ。抵抗ブリヲ見れるカラネ』

『まぁ…そうですね。あ、これ、二人には聞こえてませんヨネ?』

『もちろん、二人への通信はキッテルよ?』

『これ以上、ミスしないで下さいね、梨美』

『分かってるよ、類』

『さあ、次の段階、ですね。とりあえず第一段階は突破のようですし』

『ソウネ。じゃあ、そのまま進んでモラオウカナ?』

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