~“彼女„に~
入学式が終わって、長いHRが始まった。皆が自己紹介する。私はその間、何を言おうか考えていた。
「う~ん…自己紹介って言っても……何を言えばいいのやら……」
う~ん、困った。困ったなぁ……。一体何を言えばいいのだろう……。私の趣味……特にないし…好きなものは…食べ物ぐらいしか思いつかないし……。どうしようかな……。
『なら、私の趣味でも使う?』
「わわっ、梨美さん! こんな時まで…さすがに皆に聞こえますよ……?」
『大丈夫、私の声は貴方にしか聞こえないから』
「そ、そうなの……。それで……梨美さんの趣味って何なんですか?」
『私はイラスト描くこととか…小説書くのが好きだったなぁ~…。あとは…動画を見ることとか……』
「じゃあ……動画見ることを趣味として、貰うよ。動画は私も少し、見てるから。イラストや小説は書けないの……」
『そっか。分かったわ。まぁ趣味は人それぞれだしねぇ……』
「うん…」
「はい、次。弓月沙也加さん!!」
『呼ばれたみたいね。頑張って、沙也加ちゃん?』
「うん…。(小声)あっ、はいっ!!」
「自己紹介してね!!」
「えっと…私は弓月沙也加です。中学の頃はバドミントン部に所属していました。趣味は動画を見ることです。よろしくお願いします」
「どんな動画を見てるの? それは私が知ってる物?」
「ええと…そうですね…多分知らない物だと思います」
私がたまに見てる動画はきっと、先生の年頃では知らない物だろう…。
「そう? じゃあいいわ。皆さん、弓月さんと仲良くね?」
そう言って先生が拍手すると、クラスメイトも拍手する。……このクラスで友達出来るのかな……? 不安になった。
HRが終わり、今日はこれで終わりらしい。明日から授業は始まるみたい。私は帰る準備して帰ろうとすると、
『ちょっと待ってくれる?』
「えっ…?」
『いいから、いいから! 此処で少し待っててくれたらいいから!!』
「う…うん…分かった……」
梨美さんに言われ、しばらく教室で待つことに。
「何をするんだろう……? あの梨美さんだから…急に連れていかれる訳じゃないと思うけど……」
そう独り言を言っているとガラガラッと扉を開ける音は鳴り、振り返ると一人、男子が入ってきた。
「此処に来て何すんだよ…――――……あっ」
「あっ」
男子は私に気付き、じっと見つめる。私も男子を見つめる。男子は眼鏡かけていて、背も高く、そこそこのイケメンだが、髪がはねてるとこから、少し天然さも見えるような……そんな気がした。
壮大な入学式が終わり、ダルイHRが始まった。自己紹介だとよ。そんなの必要ねぇだろ……。いちいち皆の前で立って言わなきゃいけないって…どんだけダルイんだよ……ったく。
『随分、不機嫌ね』
「おっ、お前か。…というか、お前、妙に俺に絡んでねぇか? 何か俺にあるんか?」
『いいえ? 暇つぶしよ。私、死んでるミだけど、することなくて暇なのよ。だからって外に出ることは出来ないの……。だから何人かに声かけたりするのよ』
「何人かって……俺の他に話し掛けてる奴がいるのか?」
『おっ、貴方、鋭いね。さすが津嘉山高校に合格して入学した者。そう、貴方の他にもう一人、声を掛けてる人がいるの。女の子なんだけどね…その子、貴方と同じような感じがしたの。正確に言うと、あの女の子は私に似ていたの。雰囲気が…かしら。運動出来るとかは全然違うんだけど。私は残念ながら、運動は出来ないから……』
「そうなのか。お前は何が得意なんだ?」
『得意っていうか……唯一言えるのは…歌かな』
「歌? 上手く歌えるってことか?」
『音楽部とかコーラス部とか程じゃないけど……歌うのは好きかな』
「そうか、お前は文化部系なんだな」
『うん』
「次! 瀬川零士!!」
『呼ばれたみたいね。私は失礼するわ』
「ああ。(小声)はいっ。僕の名前は瀬川零士。中学は将棋部に入っていました。好きな物はゲームです。1年間、よろしくお願いします」
すると教室が拍手で包まれた。……ダルイ。こんなの知ってどうするんだ……。俺はうんざりだった。
HRがやっと終わり、今日のところはこれで学校は終わりらしい。授業は明日から始まるって言うが……どうせ最初は自己紹介だろ……? 早く授業しろよ…ったく。俺は荷物をまとめて帰ろうとすると
『ちょっと、まだ残ってて』
「は? まだ何かあるのか?」
『いいから、この教室に行って!! 1-4!!』
「1-4に何があるんだよ……俺は早く帰りたいんだよ……」
『いいから早く!!』
「分かったからもう言うな……」
俺は仕方なく1-4に行ってみることに。
「ええと…1-4は…3階だったかな……」
階段を上り、1-4を探す。
「……此処か」
俺は1-4の教室の扉を開ける。
「此処にきて何すんだよ…――――……あっ」
「あっ」
1-4には先客がいた。一人の女子生徒。きっとこいつが俺の他にあいつが話しかけたという女子……。俺は女子を観察してみる。下に2つにくくり、背は標準。なかなか可愛い。しっかりした感じだった。
「あ、あの…貴方は……」
「お、お前こそ…此処で何してるんだ?」
「う~ん…此処で待っててって言われて……。それで待ってました。貴方は?」
「俺は1-4に来いって言われて…それで此処に来た」
「ってことは…もしかして貴方……梨美さんに会った?」
「!! お前もか! やっぱ!!」
「うん……実は会っちゃって……」
「そうか…俺も会ったんだ。噂の……“彼女„に」
『ちゃんと名前で呼んでよ』
「「!?」」
『二人共、何驚いているの? 私、驚くことしたっけ?』
「い、いや……」
「してないけど……」
『そ? じゃあ本題ね。君達二人、これからある場所に行ってもらうわ』
「「!? 俺達(私達)、行方不明に!?」」
『ううん。ただ、貴方に頼みたいことがあるの。……私の恋人……齋藤類を……連れてきてホシイ……。私は…死んでからズット……アノヒトと会ってないノ……。アノヒトがイナイト……私……狂っちゃいそうで……ネ』
「梨美さん……でも貴方は既に狂ってると思うよ……? 今まで、何人もの人……異空間に連れ込んで……そして貴方と同じ思いにさせて…自殺に追い込んだ……。貴方は既に…狂ってるよ…。それに気付かないくらい……自我もないんだね……」
「……おいっ、あまり“彼女„のことを言うな……。余計狂ってしまうぞ……(小声)」
「えっ……」
「俺、“彼女„に彼を残して……とか言ったら……狂ったんだ……“彼女„」
「そうなんですか……すみません……」
『キコエテルワヨ!!!』
「「!!?」」
『ワタシガワルイノネ……。ワタシガ……!!! 私が…我慢すればいいのね……?』
「そ、そんなんじゃねえよ!!」
「そうだよ! 貴方も辛い思いしたんでしょ? でもね……関係ない人にそれを味わせるのは…良くないと思うの……。それだけ……」
『…………』
「……梨美……? 大丈夫か……?」
『……大丈夫。私は大丈夫。ダイジョウブ。ダイジョウブ。あはははハハハハははははははハハハハ!!!』
「「!?」」
『……沈め。二人。永遠に此処に戻るな』
「……!! きゃああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
「うわああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」
そして床にダークホールが出来、二人は沈んでいった。
『……異空間でワタシトオナジ思い……スルガイイ……。アハハハハハはは?』
『……梨美様、それはさすがに可哀想だと思います』
『あら、類。来てたの』
『ええ。だって、これから梨美様が二人に運命のゲームを始めるのですから。そのゲーム始めるには、私が必要不可欠でしょ?』
『まぁ…ソウナンダケドね。さぁ今回も始まる楽しい楽しい♪』
『今後の運命をカケタたった一つのゲーム♪』
『さぁどんなゲームになるのかな?♪』
『どんな結末になるのかな?♪』
『始まるハジマル♪』
『生存率5%のゲーム♪』
『……あハ? 楽しいね? 類』
『ソウダナ。楽しい。君となら』
『じゃあ、私達も行こうか』
『ああ。あっ、そうだ。行く前にこれ、しとかないと。私達も帰れなくなるから……。これをしたら、帰れるからね』
『そうだったね。うん』
『……でもこれ、恥ずかしいなぁ……///』
『ソウカナ? 二人だし、私はもう慣れたんですがね』
『そっか/// じゃあ……』
『んん……』
『ん…///』
キスという行為で、“二人„だけはいつでも帰れるように出来るのだ。二人の結果がどうなっても……。
『ん/// よし、私達も入りましょう』
『そうだね/// 類』
そして“二人„も異空間に繋がるダークホールに入ると、ダークホールは消え、そして教室は静かになった。




