~ヒトにイエナイ苦しミ~
零士パートです
今回は若干短めかもです
そして、大変お待たせしました……
ペースは遅めですが…投稿していきたいと思います
「……っ……。頭痛ぇ……。……んぐ!? 此処は何処だ!? 真っ暗でよく見えない……!! 沙也加!! 沙也加は何処だ!?」
俺は必死に目を凝らして、沙也加を探す。だが、返事がない。はぐれたか。
「……無事だといいが……。あいつ、右足が駄目になってるからな……」
俺はとりあえず進むことにした。明かりがないため、ゆっくりめにしか歩けないが。真っ黒な世界だった。
『アノコは生きてるヨ?』
「!?」
俺は声が聞こえた方向に振り向く。
『アノコは生きてる』
半透明の女の子が立っていた。この子もきっと幽霊だろう……。だが、悪い奴ではなさそうだ。
「それは……本当か……?」
俺は恐る恐る半透明の女の子に聞いてみる。
『本当…ダヨ。ダケド、かなり重傷ミタイ…。ハヤく行ってあげた方がイイカモ……』
半透明の女の子は悲し気に顔を歪ませて言った。そうだ……沙也加は右足が使えない状態だ。そんな状態で一人、動き回ることなんか…出来る訳無い。一刻も早く行かなければ……!!
「悪いが、沙也加の所まで連れてってくれないか?」
『ウン、分かった。コッチ…だよ』
半透明の女の子が歩き出す。俺は速足について行った。沙也加は大丈夫だろうか……。待ってろ…沙也加!
明かりがない。真っ暗な空間。半透明の女の子の気配に頼って、歩き進める。……嫌な予感がする。此処に来てから、敵が全然いないのだ。……これは精神的に病ませる気か……? 確か……例の事件は、梨美の霊は異空間に連れて来た人間を、自分が味わった気持ちを味わせるらしい……。ってことは…敵がいない代わりに、梨美の思いが……襲ってくるということか……?
『……アノコはね……右足がもう駄目ミタイ。仲間の霊がオシエテクレタ……。これじゃ、現実に戻っても…後遺症がノコルかもシレナイ……』
「……そんなに悪化したのか……沙也加の右足は……」
『…シカモ、そのことニ相当ショック…受けてるミタイ……。アノコの精神が……ヤバイかも……。気を付けて……ネ』
半透明の女の子は沙也加の現状を教えてくれた。……沙也加の精神も、限界なのかもしれない。早く…早く迎えに行かなければ……。
『シニ……タイ……』
「……来たか」
周りから聞こえるこの声……。梨美の声だ。梨美が生前、思ったこと。つまり此処は梨美の心の一部。
『ワタシハ……酷い。醜い。イツモ……頼ってバカリデ……ゴメンナサイ…私ってば……』
……泣いてる。梨美が泣いていた。……いや、悲し気なんだ。涙はきっと、辛すぎて出ないんだろう……。俺はその感情を知っている。……時々俺も……なることだ。だけど、ネガティブばかりに捉えても仕方ないと俺は分かっている。
『……ごめんなさい……。何もデキナクテ……。嫌い……。こんな私……嫌い……。無力で…役立たずな私は……大嫌い……!!』
無力な自分……か。俺も梨美と同じ事を考えた。無力でちっぽけで…情けない自分は嫌いだと。……あぁ、あの頃の俺と梨美は同じだ。俺と梨美は同じだったんだ……。……気持ちが分かる意味で、辛くなった。これが……精神攻撃か。
『……コンナコト……誰にも相談デキナイ……。馬鹿らしいモン……。……親に言うと…オコラレルし……類には……言えない……。迷惑……カケタクないから……。ソレニ…まずナニヲ悩んでるのかスラ……分からない……』
……誰にも言えなくて、しかもはっきりしなくて…だけど苦しい。……そういうことか……梨美。
『辛い……。寂しい……』
類とは確か、遠距離だったか……。しかも会えるのが数回……。
『あぁぁ………涙も出ないや……』
「…………」
俺は複雑な気持ちになりながら歩みを止めず、半透明の女の子についていく。
『……ダイジョウブ?』
女の子は俺の精神を気遣ってくれた。それだけでも俺は救われたような気分になった。
「……ああ。ありがとな」
沙也加のためにも…此処で狂う訳にはいかない…!!
『……そろそろダヨ……。モシカシタラ……ショック受けるカモしれない……。覚悟…した方がイイカモ……』
女の子がトーンを落として俺に忠告した。しばらく歩いていると何かが見えてきた。
「……!! 明かり……!!」
俺は急いでその明かりのある場所に向かう。
『二人…再会デキソウ…だね。良かった……。ジャア……ね。頑張って……ネ』
そう言って、半透明の女の子は消えていった。俺は明かりのある所へ走る。
「沙也加……!!」
そこには懐中電灯を持った…………
「え…………」
「……零士……君……」
変わり果てた沙也加――――――…………
『再会、シタミタイ』
『みたいですね』
『……零士って人……私ト似てるカモシレナイ……』
『でも確か…零士は元は僕のウマレカワリなはずナンデスガネ……』
『そうよ? ダカラ類ニモ似てるノ』
『確かに僕も……時々悲しくナルケド……零士程では…ナイト思うケド……』
『……ソッカぁ……。私…凄く病んじゃう……』
『知ってる』
『いつも自分を責めチャウ……』
『知ってる。でもソレガ君。君という存在』
『……アリガト』
『……梨美』
『何?』
『……このゲーム、続けよう』
『……。ウン。私、類が一緒ジャナイト…嫌だから…』
『……僕も、梨美がイナイト…悲しくナル…カナ』
『……嬉しい……。アリガト……類……』
『……サテ、再会したガ……ドウヤら沙也加の様子に…零士は戸惑っテル様子』
『ダロウネ。だって……フフフ……』
『展開が楽しみダナ』
『ソウネ』
『せいぜいクルシメ、不幸な二人ヨ』
『クルシンデ、私よりクルシミまくって……朽ち果てるガイイ!!』
梨美がいつもの調子に戻ったヨウ。……コワイ。独りになってしまわないかが……コワカッタ。僕は……僕は……。梨美がイナクナルノガ……。コワイ。
『……類? ドウシタノ? 早く行こ?』
梨美に言われ、はっと我に返る。
『……あぁ。そうだな』




