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あの、冬の日  作者: 藤也
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第一話 少女

初めまして、藤也といいます!!

まだまだなヤツですが読んでくださると嬉しいです。

よろしくお願いします。

 少女がビルの屋上の低い柵の上に足を掛けていた。


普通にヤバイだろ、これ。


***


 俺は普通の高校2年生。学校は進学校でもなければ特に落ちぶれてヤンキーだらけな学校でもなく、ごく一般的な学校に通っている。

友達だってたくさんいるし、担任もなかなかしっかりしていておもしろい。ちょっとうるさそうなクラスだけど、授業が始まるとみんな静かになるからテストの面でも心配なことはない。俺はこんな学校生活に満足してるし、すっごい楽しい。

そんな楽しい生活の中でも一番の楽しみは、隣のビルの屋上に昼頃やってくるOL女性を見ることだったりする。

別に誰が好きとかではないんだけどその日の仕事の話や愚痴を言い合っている彼女たちを見ているのは、なんだか楽しかったりする。

だから四時間目あたりの授業はあまり集中できないので、家に帰ってからの復習のときとかはちょっと後悔もする。

それでもやめられないんだけどね。


 だから今日の四時間目も始まりからずっと窓の外を見ていた。

先生にばれないようにこっそり目だけで。

といっても彼女たちは四時間目の中盤あたりに屋上の扉を「もうやってらんないわよっ!!」とかいいながらやってくるから最初から見ていなくてもいいんだけど、もしかしたら早くくるかもしれないし。

(早く来ないかな…)

すると願いが届いたのか、ドアノブがガチャリ、と鈍い音をたてて回った。

俺は興奮を抑えながら窓の外の人影にピントを集中させる。

今日は一体何人なのだろうか、今日の話題は?、お弁当の中身は?

そんなことを考えていたが、屋上に現れた人物を見て頭が真っ白になった。

 

そこにいたのは、少女だった。


今は冬だというのにノースリーブの真っ白なワンピースを着ていて、靴もはいていない。

全体的にやせ気味で顔色もいいとはいえなかった。

でも、瞳にはなにかが灯っているような輝きがあった。

俺は状況を把握できずにいた。

いつものOL観賞のはずが、謎の少女が現れるなんて。

しかしあの子は一体、何をする気なのだろうか。

俺は少女の動向をじっと見た。

すると少女はきゅっと唇を引き締め一歩ずつゆっくりと歩き出した。

そして、柵に足を掛け、細い腕で柵の上に這い上がる。

少女は二本足で柵の上に立ち上がった。

少女の頬には美しい涙が伝っていた。


これは、ヤバい。


俺は授業中だということも忘れて教室を飛び出した。

先生の声や友達の声など、なにも聞こえなかった。

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