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魔眼と弾丸を使って異世界をぶち抜く!(Web版)  作者: かたなかじ


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第五十二話


 その後もアタルたちを先頭にした一団は途中で野営をし、翌日には一行は南の山へと辿り着いていた。


「ここの洞窟か……」

 フラリアはぽっかりと口を開けている洞窟に視線を送りながらそう呟く。特に見た目は普通の洞窟なのだが、この先に待ち受ける大量のゴーレムのことを考えると背筋がぞわりとする恐怖を覚えた。

「あぁ、入って少しいったところで何体かのゴーレムと出くわしたが、そのずっと奥に例の巨大ゴーレムがいるはずだ……前に脱出する時に街に来られたら困ると思って道を塞いだんだが、どうなっているのかわからない」

 同じく洞窟の先を見ているアタルはフラリアの隣で、再度洞窟内の状況を説明する。


「なるほど。……申し訳ないが二人に先行してもらうのは可能かい?」

 状況を把握しており、大量のゴーレムとの戦いを切り抜けた二人が先行すれば大崩れするということもないだろうとフラリアは踏んでいた。


「それは構わないが、俺の武器に関しては質問禁止にしてくれ。ここに来る道中もみんな気にしていたみたいだが、これはうちに代々伝わる秘密の武器なんだ。……情報を漏らしたら、家に戻ることができなくなる」

 道中話していたキャロの案を採用した結果がこの言葉だった。硬い表情で愛銃をそっと撫でながら話すアタルの演技は真に迫っており、フラリアはごくりと唾を飲んで頷いた。


「承知した。みなに伝えておこう」

「頼む、それで早速向かってもいいのか?」

 そう問いかけるアタルとキャロは既に準備ができていたからだ。すでにキャロの手によって馬車を引いていたユースタスは近くの木にとめてある。


「そうだな……みんな、そろそろ洞窟に入ろうと思うが準備はできているか!」

「おお!!」

 フラリアの声掛けに冒険者たちは武器を掲げ、やる気に満ちた声でいっせいに返事を返す。ここまで魔物と戦う機会がなかったことで体力が有り余っているという様子さえあった。


「よし、キャロ行くぞ」

「はい、アタル様っ!」

 頷きあった二人は一足先に洞窟内に足を踏み入れると、周囲の様子を探るために集中しながら進んで行く。一瞬で空気を変えるほどの集中力を見せている二人にフラリアは身体が痺れるような感覚を覚えた。最初に話した時から実力者だとわかってはいたが、実際目の前でその一端を見せられたせいだろう。


 そんな彼らの放つオーラに他の冒険者も圧倒されながら、はっとしたように二人の背中を追いかけていく。


 数分進んだところでアタルが右手で合図して一行の動きを止める。互いの認識を確認するようにキャロはアタルと視線を交わして頷く。

 他にも何人かの冒険者も気付いているようだったが、アタルとキャロは少し先にゴーレムの姿を捉えていた。どうやら以前の脱出の際に道を塞いだはずなのだが、ここにゴーレムがいるところを見るとそこを突破されたのだと分かった。


「数は二だ。キャロ、前回と同じでいくぞ」

「はいっ」

 わかっているように抑えた声でアタルが作戦を話すと、しっかりと頷いて見せたキャロが勢いよく飛び出す。


「ちょっ! そんな無謀な!」

 実力を知らない者からみれば獣人の少女がゴーレムに、それも一人で向かっていったことに驚き、咎めるように思わず声をあげてしまう。


「ちっ、先に気付かれたか」

 苛立ちを募らせたアタルは舌打ちをする。先ほどの他の冒険者の声にゴーレムが反応し、キャロやアタルたちへと視線を送っていたのだ。せっかく先手を打つチャンスを潰されたことに腹が立ったが、彼女ならば大丈夫だろうと信じているアタルは愛銃を構えながらチャンスをうかがっていた。


 アタルの予想通り、全くといっていいほどキャロは慌てておらず、冷静にゴーレムの攻撃を受け止めて弾き飛ばす。あんな小さい身体のどこにそんな力があるのかと先ほど声を上げた冒険者が唖然とした表情で見ていた。

「お、おい、お前はいかないのかよ!」

 うろたえたように冒険者の一人がアタルに声をかけるが、集中していた彼の耳には届いていなかった。


 そして、前回同様タイミングをはかって一発で魔力管を撃ち抜く。流れるような二人の連携のとれた攻撃でまずは一体のゴーレムがあっという間に地に伏せる。


「なっ!?」

 アタルが何をしたのか理解できない冒険者は大きな音を立てて倒れるゴーレムを見て驚きの声をあげた。ゴーレムといえば身体の硬さからそんな簡単に倒せるものではないと知っているからこそ、驚きを隠せなかった。

「おい! お前何をしたんだ!」

 問い詰めるように更に追及の声をかける冒険者たちだったが、アタルはそれを全て無視して次にキャロが隙を作るのを静かに愛銃を構えて待っている。


 中にはしびれを切らしてアタルの肩を揺らし、何が何でも返事をさせようとする者もいたが、アタルが集中しているのを察したクラウスがその冒険者の動きを止める。

「やめておけ、彼の邪魔をするな」

 その間に再びキャロがゴーレムの腕を弾きあげ、そこへアタルが攻撃して見事ゴーレムを撃破する。


「ふう……キャロも慣れたものだな」

「アタル様こそ、いつもながら正確な攻撃ですっ」

 一旦表情を緩めた二人が互いの健闘を称えあっていると、こらえきれなくなった冒険者たちが二人を囲む。


「おい、今のはなんだ!」

 苛立ち交じりにアタルに詰め寄って来た男は別のパーティの一員だった。髪を剃りあげており、アタルよりも頭二つ分大きな男が恫喝するかのごとくアタルを大きな声で怒鳴りつける。あまりの大声にキャロが長い耳を押さえて首をすくませている。


「……説明義務はない。武器について説明はしないとギルドマスターには伝えたはずだが?」

 相手にしないという意思を込めて淡々と告げたあと、アタルは男を避けて先へ進もうとする。ギルドマスターの了承を得ている以上、絡まれるいわれはないと思っていたからだ。

「おい!」

 それでも納得のいかない男は無理やりアタルの肩を掴むが、どんなに力を込めようと彼は微動だにしなかった。


「離してくれるか?」

 ひやりとした空気を感じさせるような落ち着いた声で話すアタルに男は背筋が凍りつくのを感じた。力に自信がある男だったが、近くに来た今なら彼に喧嘩を売ったことが間違いだったということが嫌というほど思い知らされる。

「っ!……あ、あぁ……悪かった」

 掴んだその手からアタルの内に秘める強さの何かを本能的な部分で感じ取ったのだ。それが激しく警鐘を打ち鳴らしていることに気づいた男はうろたえながらも引き下がった。


「二人は一体何者なんだ?」

 そんなやり取りをしていたアタルへ投げかけられた純粋な問いかけはクラウスの言葉だった。普段の爽やかな笑みは消え失せ、静かにアタルを見据えている。

「俺たちはただの冒険者だ、お前たちと同じだよ。ただちょっとばかり戦い方が違うだけのな」

 振り返ったアタルは感情のこもらない声音で答えると、それ以上話すつもりはないのか先に進んで行く。


「ちょっとばかり……」

 呆然としながらそう呟いたクラウスは少しずつ遠ざかるアタルの背中を見送ることしかできなかった。

「おそらく彼らには何か力があるみたいだ。私が聞いた話のとおりであれば、大量のゴーレムに襲われても切り抜けることができたらしい。我々にできることは彼らを信じることだけだ」

 そんなクラウスの隣にいたフラリアは冷静に判断できそうな彼にだけ聞こえるようにそう言った。先ほど目の前で見せつけられた圧倒的な実力差を思えば、アタルのことを信じざるを得なかった。


 それ以降も奥へ進むたびに何度かゴーレムと出くわし、そのたびに素早くアタルとキャロが撃破していく。そして二人は倒すと核を回収する必要もないため、すぐに先へ進んでいく。


 そろそろ例の巨大ゴーレムがいる空間まで近づいてきたころ、アタルとキャロは前回隠れた位置でも巨大ゴーレムに見つけられてしまった経験から、かなり離れた位置で足を止める。

「ここでいいのか?」

 硬い表情でフラリアが質問するが、アタルは口元に指をあて静かにするようジェスチャーで伝える。


「……みんな静かにしてくれ」

 それを見た冒険者たちが息を飲む。ここまで来るとアタルがこの戦いの主力であることは嫌でも思い知らされていた。そんなアタルは低いトーンで、だが味方に聞こえるような声で呼びかける。

「前回は離れた位置でも巨大ゴーレムに俺たちの場所がばれた。あの時より離れていれば恐らく平気だと思うが、念のため多めに距離をとっておいた」


 その言葉にフラリアは難しい表情になる。障害物がある上にあまりにも遠すぎて、ここからではなんとなくまだ奥に洞窟が続いていることくらいしかわからないのだ。

「しかし、ここからでは敵の数や配置がわからないな……」

 作戦をたてようにも彼我戦力がわからなければ、フラリアもどうにもできない。


「……少し待っていてくれ。俺が見てくる」

 この先は今までのようにキャロと二人だけでは対処できないことをわかっていたアタルは返事を待たずに一人でゆっくりと奥に向かって行く。それを見送るキャロは何をするか分かっているようで、アタルについて行くことなく少しでも身体を休めるようにその場で待っていた。


「さて、ここで眼の力に頼るか」

 冒険者一行から離れた場所までくると、目に魔力を集中させていく。淡く青に輝く瞳は岩や壁を貫通して敵の配置を全て余すところなく見せてくれる。

 それらを記憶するとアタルは再び一行のもとへと戻って来た。


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