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魔眼と弾丸を使って異世界をぶち抜く!(Web版)  作者: かたなかじ


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第四十九話


 ギルドの外まではみ出すほど集まった冒険者たちに向かってあちこちで職員が分散して依頼についての説明をしているようだった。その中でもひと際大きな声で外にいる冒険者たちに説明しているのはギルドマスターのフラリアだった。

「南の山のゴーレム討伐への参加メンバーを募集する! 参加資格はBランク以上、もしくはパーティメンバーにBランクの者がいること。報酬は参加報酬としてこちらに記載されているものを、成功報酬は討伐数に合わせて増やす。出発は明日の早朝、参加の意思があるものは本日中に依頼の受諾をしてくれ!」


 それを聞いて周囲に集まってきている冒険者たちがひそひそと相談をしている。

「おい、どうする? リーダーがBランクだから俺たちも参加できるけど……」

「こりゃ、うちのパーティには難易度が高すぎるな」

「よっしゃ、いっちょ腕試しに行ってみるか!」

 それぞれが参加すべきかせざるべきか、悩んでいるようだった。いくら報酬がおいしくとも、多数のゴーレム相手に無事に帰って来られる自信がないというのが大きいようだ。


「アタル様、我々も行きましょうかっ」

 ぐっと胸のあたりでこぶしを作って意気込んだキャロに言われるが、アタルは眼前の混雑を見て辟易としていた。

「……いや、少ししてからにしよう。依頼の発表があったばかりだからどうせ混むだろう。宿で休んで夕食を食べてから来ればいいだろ」

 実際にギルドホール内は多くの冒険者で埋め尽くされており、受付も依頼についての説明で手一杯になっていた。


「確かにそうですね……」

 人でひしめき合うギルド内を見ていると、中には足を踏んだ踏まないで小競り合いをしている冒険者までおり、困ったようにキャロは耳を下げてそんなことをしている場合じゃないのに、といった視線を向けていた。

「さあ、明日は朝から出発なんだから今のうちに休んでおくぞ……もしかしたら、俺たちが先頭になる可能性だってあるんだからな」

 アタルの報告がきっかけで今回の件が始まったと考えると、現場の状況に詳しいアタルやキャロが先導する可能性も十分あった。気を取り直すように声をかけられたキャロははっとしたように彼を見上げて何度も頷いた。


「あーっと……その前にまだ馬車を借りていたいことをガイゼルのところへ話しに行ってくるか」

「あの道のりを徒歩は大変ですからね。まだ貸してくれればいいんですけど」

 行くまでは他のパーティに混ざるというのも一つの手ではあったが、やはり動きやすさを考えると自分たちの馬車があったほうがいいだろうと考え、ざわめいているギルドをあとにし、一路ガイゼル家へと向かった。




 ガイゼルの家に到着すると、親子に二人は快く迎えられる。

「やあやあ二人ともいらっしゃい。今日はカイルがいるタイミングでよかった」

「師匠、先生! お久しぶりです。またお会いできてうれしいです!」

 飛び跳ねそうなくらい嬉しそうな笑顔を見せたカイルは二人に対して深々とお辞儀をしながら挨拶をする。


「そ、そんな! 頭をあげて下さいっ。私はアタル様の奴隷という身分です! 貴族のご子息がそんな風に簡単に頭を下げられてはっ」

 カイルの態度にキャロが慌てたように必死にそれを止めようとした。街までの道中は指導する立場ということもあって、カイルのこういった態度を黙認していた。しかし、今はそれぞれ元の立場に戻ったことからカイルが頭を下げることに本心から困っていた。


「カイル、こう言っているからキャロの望み通りに頭をあげてくれ。俺にしても大したことを教えていないのに、そこまで頭を下げられたら少々座りが悪いからな」

「むう、お二人がそうおっしゃるなら……」

 キャロの気持ちを汲み取ったアタルによる助言でカイルは渋々納得すると、顔をあげた。


「それで、今日は馬車の返却に来られたのでしょうか?」

 ここに来る用事といえばそれだろうといったガイゼルの質問にアタルはゆるりと首を横に振った。

「いや、ちょっと依頼が続きそうなんでもう少しだけ貸してもらえたらと思って来たんだが……」

 大切な馬車と馬をまだ借りたいということにアタルは少し申し訳なさそうに言ったが、それを聞いたガイゼルは満面の笑顔だった。


「なるほど、それなら大丈夫です。以前も言いましたが私たちはしばらく使いませんので、お役に立てるのであればぜひお二人でお使い下さい。それよりも気になるのですが、今度はどんな依頼なんでしょうか?」

 ガイゼルもカイルもひとまず馬車のことより、依頼の内容が気になっているようだった。


「俺たちが依頼で南の山にゴーレムの核をとりに行った話はしたよな?」

 その問いにガイゼルもカイルも頷いた。カイルはアタルたちが帰ったあとにガイゼルから話を聞かされていた。直接アタルたちから話が聞けなかったことをカイルが悔しがっていたのはガイゼルだけが知っている。


「依頼自体は遂行できたんだが、洞窟の奥で大量のゴーレムがいたのを確認したんだ。しかも、その中には巨大ゴーレムが一体いた。おそらくあいつが他のゴーレムに指示を出しているんだろう……」

 淡々とした口調だったが、アタルは倒しきれなかった巨大ゴーレムを思い出して悔しさを顔に表す。その隣でキャロも自らの力不足を悔やんでいた。


「アタルさんでも倒せなかったのですか?」

「あぁ、通常のゴーレムを楽に倒せていたから、あのデカブツを甘くみていたんだ。その結果、俺の攻撃を警戒させることになって倒しきれなかった」

 意外だという表情のガイゼルの質問に答えるアタルは自分のミスを心から悔やんでいた。神に色々特典をもらっても、結局それを使う自分がひとつ間違えば能力を存分に発揮できないのだと思い知らされた。アタルも人だから間違うこともあるとはいえ、次こそは必ず仕留めようと心に決めている。


「なるほど、それを倒しに行くのが今回の依頼ですか?」

「いや、まだ続きがある。その巨大ゴーレム、そしてゴーレムの大量発生をギルドマスターに報告したんだ。俺たち二人だけじゃ手に余るほどの数だったからな」

 そこまで言うとガイゼルは得心が言ったという表情になる。


「なるほど、それではギルドをあげての大規模依頼になったのですね。私がもっと若い頃にも数回あったのを記憶しています」

 大規模依頼というのは過去にもあったことであり、ガイゼルは懐かしそうに言う。

「しかも今回はBランク以上の冒険者がいるパーティ限定という条件つきだ」

 この追加情報にガイゼルは驚いていた。だが大量のゴーレム相手となればその条件にも納得がいくと頷く。


「なんと! それはなかなか高難易度の依頼扱いですね。それなら報酬もいいはずです。お二人ならよい結果が出せるでしょうからぜひがんばって下さい!」

 アタルたちの実力を信じているガイゼルはまるで我が子が活躍しているような気持ちになり、どこか興奮しているようだった。


「アタルさん、キャロさん、お二人の力は僕はよく知っています。そのお二人が倒しきれなかった巨大ゴーレム。おそらく余程の強敵なのでしょうね。……でも、お二人ならばどんな敵が相手でもなんとかできると僕は思います!」

 力強くそう言ったカイルは訓練ではあったが、二人の力の一端を見ていたため、ガイゼルとは違った視点ながらも心からその力を信じていた。

 ガイゼル親子の深い信頼にアタルとキャロは背中を強く押されたような安心感を感じて微笑む。


「あぁ、ありがとうな。今回は他のパーティもBランク以上がいるから、それなりに戦えるはずだ。だから、今度こそあのデカブツ……ぶち抜いてやる!」

 ぎりっと拳を握った力強いアタルの宣言に、ガイゼルもカイルも尊敬の眼差しで見ていた。


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