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魔眼と弾丸を使って異世界をぶち抜く!(Web版)  作者: かたなかじ


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第百十七話


「この魔物が吐き出した瘴気が形を成して別の魔物になったということですか……」

 魔物を掴んだまま、ギガイアは手紙に書いてあった情報を口に出して確認する。

「あぁ、その通りだ。元が瘴気だったからこちらの攻撃はほとんど効いていないみたいだったな。元凶のそいつをなんとかしたことで瘴気の魔物も動きを止めたみたいだ」


 黒い魔物はギガイアの手の中で必死に暴れて逃げ出そうとするが、全く抜け出せる見込みがなかった。

「それで、あんたはそれをどう見るんだ?」

 ひょいと肩を竦めて問いかけるアタルは封印解除を依頼されたが、それ以降どうするかは聞いていなかった。


「そうですね、少し結界を解除してこいつを自由にするので、戦ってもらえませんか?」

 倒しきれない相手に戦えと危険なことを提案するギガイアだったが、アタルたちならできるだろうと考えていた。

「……わかった。だが、もしこいつが逃げ出そうとしたらあんたのほうで止めてくれよ?」

 アタルは依頼を受けた段階でこうなるのではないかとうっすら思っており、仕方ないといった様子で視線をギガイアに流す。


「それはお任せ下さい。実際に瘴気の魔物との戦いを見せて頂ければ十分です」

 話をしている間にギガイアは能力を封じる結界ではなく、外に出られなくする結界に変更していた。今回もいつの間に行ったのかアタルもキャロもわからなかった。


「それじゃあ、俺が合図したらそいつを解放してほしい。キャロ、バルキアス、イフリア準備をしてくれ。瘴気の魔物は通常攻撃が効かないから、魔力を込めた攻撃を中心に戦うぞ」

 アタルの言葉に三人は頷き、戦闘態勢に入る。


 前衛はキャロとバルキアス、中衛にイフリア、アタルはそこから更に距離をとって銃を準備する。

「ほう、アタル君は遠距離タイプですか。私はてっきりガンガン前線に出るタイプかと思いましたよ」

 ギガイアは自分に対して怯むことのなかったアタルの気性から、そう予想していた。


「残念だったな。俺は生粋の遠距離攻撃専門だ。同じ攻撃方法のやつはいないだろうけどな」

 アタルが構えた武器を見たギガイアは目を細める。自分が知らない武器があることに興味津々といった様子だった。


「ちなみに、どれくらい戦っていればいいんだ? 本体をなんとかしないと倒せないと思うが」

 無駄に戦闘を継続してはアタルたちが先に疲弊してしまうため、それは避けたいと考えていた。

「そう、ですね……十分程度戦いを見えてもらえばよろしいかと思います。それだけあれば、魔物についての情報収集ができると思いますので」

 にこりと笑うギガイアにアタルは本能的にまずいかもしれないと思っていた。


「キャロ、バル、二人で戦えるか?」

 銃をおろしたアタルはイフリアと自分は参加しないことを伝える。イフリアはその言葉に異を唱えることなく少し後ろに下がる。アタルに何か考えがあるのだろうと察したからだ。

「えっ? あっ、はい。大丈夫だと思いますっ」

 アタルの言葉に一瞬驚いたキャロだったが、それでも彼我戦力を考えて二人でいけると判断した。バルキアスも、キャロの隣で問題ないと頷いていた。


「あ、あれ? アタル君は戦わないのですか?」

「行け、キャロ!」

 戸惑うギガイアの言葉を無視して、アタルはキャロに戦闘開始の合図を出す。


 未だ手の中に魔物を握っているギガイアは慌てて手を離して距離をとる。解放された魔物はすぐさま瘴気を吐き出して、瘴気の魔物を呼び出す。

「これが噂の!」

 ギガイアは珍しいものを見たと笑顔になっていた。冒険者としての血が騒いだのだろう。


「せいっ!」

 キャロはそんな反応はお構いなしに、瘴気の魔物に攻撃を加えていく。実体がないとわかっているため、剣に魔力を込めて斬りつけていく。

 すぐに復活することになるが、それでも腕を斬り落とすことに成功する。斬り落とされた腕は霧散するように消えた。


「バル君!」

 キャロの言葉に呼応して飛び出したバルキアスが鋭い爪を振り下ろした。こちらもキャロと同様に魔力を込めた攻撃であるため、反対の腕を削ぎ落した。先ほどと同じように腕は消える。


「ふむふむ、二人ともなかなか強いようですね」

 腕を組んだギガイアはキャロたちの戦い振りを感心しながら見ていた。

「あんたが見たいのは、キャロたちの戦いなのか? それとも瘴気の魔物についてなのか?」

 不機嫌そうなアタルの質問を受けたギガイアはにやりと口角をあげる。


「それは、もちろん両方です」

 悪びれもせずにギガイアは言った。

「俺たちの戦い方についても調べるよう手紙に書いてあったんだろ? ……ブレンダも困ったものだ」

 ため息交じりのアタルの予想は正解だった。

 ブレンダは、封印球の仕組み、中に封印されている魔物の調査、そしてアタルたちの戦力分析を依頼していた。


「まあ、面白そうなので魔物の調査は引き受けますが、あなたたちについて彼女に報告するつもりはありません」

 楽しそうにギガイアは笑みをこぼす。ブレンダの手紙を読んだわけでもないのに全てを見透かすようなアタルの発言でギガイアはますますアタルたちに興味を持ったのだ。


「まあ、そう言われても俺の戦いを見せるつもりはないけどな。俺は特殊な戦い方だから、それをブレンダに言わないとしても見せる義理はないからな」

 キャロたちへ視線を戻したアタルは彼女に報告するつもりはないという言葉がどうも引っかかっていた。


「ふふっ、あなたもなかなか食えない人ですね。……まあいいでしょう、本来の目的のほうは達成できそうですからね。二人とも見事な連携です」

「全くだ、前に戦った時よりも数段良くなってきている」

 その意見にはアタルも同意する。視線の先で戦いを繰り広げている二人は軽々と魔物の攻撃を避け、そして魔物へ確実にダメージを与えていく。どちらかに疲労は見えると、他方が休ませて継続戦闘時間を伸ばすなど互いを生かした連携を見せていた。


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