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白椿  作者: 野草こたつ
7/8

七話『シキの運命』

 路地裏、夜。

 ソラは黙っていなくなってしまった。

 またあの椿のところへ行ったのだろうと、ふらふら怪物斬りをしながらそこへ向かっていたときだった。


「あれ、は……」

 愕然とした気持ちだった。

 全身を水晶に変えた、両手にナイフを……。

 レイラを持つ少女。

 よくよく見知ったそれは、間違いなく。

「ソラ?」

『……』

 少女は何も答えない、ただレイラを構えた。

『シキ!』

 シズイの声で我に返り、襲い掛かってくる連撃を避けて後ずさる。

『だめだよ、ああなったらもう、殺してしまうしかない。

 そうしないと、ずっと彷徨うだけだから』

「――」

 いつかこうなる。

 そんなのは最初から分かってた。

「あぁ、畜生」

 シズイを構える。


『レイラを切り離して、心臓を貫けば彼女は死ぬよ』

「平気で言うなぁおまえも」

『だって……そうするしかないでしょ?』

 シズイらしからぬ言葉に驚いたが、会話をする余裕はない。

 相手はソラだ、長期戦にはできない。

 覚悟を決めて腕に力を込めた。


 だが。


「……え」

 腹に走った痛み。

『……』

 レイラが貫通した……、俺の。

 瞬時に間合いを詰めた、目の前にある銀色の双眸。

 そこまで考えて、レイラを引き抜き間合いを取って、シズイでソラの心臓を突き刺した。

「くっそ……!」

 そのあと、残る力でレイラとソラを切り離す。

 その体はがらがらと崩れ落ちて、霧のように消え去った。


「……あーあ」

『シキ! シキってば!』

 朦朧とする意識のなかでシズイの声を聞いた。

「情けない最期になっちまったな」

 ソラのように変わり果てるまであらがったのでもなく。

 非情になりきることもできなかった。

 人間らしく愚かな俺の最期。

「あいつは……」

 白椿のやつは、死んだのかな。

 そう考えていると、ぼやけはじめた視界にそいつが見えた。


「あなたは、正しくあなたであった」

 ……くっそ、最悪な幻覚だぜ。

 心の中で悪態をつく。


「いずれ、また、会う日まで」


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