四話『日常』
レイラもシズイも後々確認するとそこにあった。
ただ無理やり押し戻されたと、二人とも言っていた。
翌日、昼休み、校舎裏。
「東条君」
非難をこめた私の声に、彼はあっけらかんとして答えた。
「約束はしねえって言ったろ」
「私のあとをついてきたのですね」
「あぁ、いい勉強になった」
「あなたという人は!」
私は今度こそ怒鳴った。
この人は何も分かっていない。
兄さんだって死んでしまった、私が殺した。
同じようになってしまうと警告しているのに。
これは、命がかかっていることなのだから。
『待ってよ、シキはソラのことが心配で』
シズイの声を東条君が無理やりに押し込めているのが分かる。
「そんな他人本位な理由じゃねーっての。ソラだって、ただ俺のことを心配してくれてるだけだっつのに」
『そうなの?』
シズイは不思議そうにしている。
「俺がやりたくてやるだけだ」
「そんな理由で納得すると思いますか?」
「他人の選択にあんまり口うるさく介入するもんじゃないぜ」
剣呑な空気が漂い始めたとき、ナイフであるレイラが、私にだけ聞こえるよう囁いた。
『彼、昔は病弱だったのですって。だからほうっておけないのよ、病気で死ぬ人を』
(……納得はいきません)
『あなたも強情ね』
レイラは呆れたようだ。
「邪魔ならあんたのそばはちょろちょろしないさ」
「好きになさってください。私はもう止めませんから」
「?」
東条君は不思議そうな顔をした。




