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二夜目

トニーサンタはベッドの上で跳びはねました。

「よかったね、トニー。」

「うん、本当に。…でも、どうやってプレゼントを配ればいいんだろう?」

「あの日の一番星に聞いてごらん。きっと、何でも教えてくれるよ。」

ジョンが言い終わると、待っていたかのように一番星が話しかけてきました。

「言われるまでもないよ。ボクたちもキミの働きっぷりが気になって仕方がないからね。」

一番星の言うように、トニーを見守っているのは一番星だけではありませんでした。元気一杯の赤色巨星も、寝坊助の青色超巨星も、お洒落好きな白色矮星も、たくさんの星たちがトニーの頭上でソワソワと煌めいていました。

「いいかい、よく聞いてね、トニーサンタ。子どもたちへのプレゼントは全部サンタが作るんだよ。」

「全部?」

「そうさ、キミが欲しがってた真っ赤な飛行機の模型も、友だちのアンナが欲しがっていたブロンドヘアーのお洒落なお人形も、犬も、猫も、全部、サンタが一から作っているんだよ。」

トニーはビックリしてしました。てっきりサンタは魔法使いのようなもので、白布の大袋に手を差せば、中からプレゼントが湧いて出てくるものとばかり思っていたのです。


ですが実際は、サンタだけが住む村があって、そこでサンタたちは分担をして世界中の子どもたちへのプレゼントを作っているというのです。

木工のサンタもいれば、人形師のサンタもいて、犬のサンタ、猫のサンタもいます。1000人にも満たないサンタ総勢で、何千万というプレゼントをクリスマスまでに準備しているのです。

「だからキミも早く村に行って、来年のプレゼントの準備をしなきゃいけないんだよ。」

「どうやって行けばいいの?」

「大丈夫、ジョンに股がってごらん。道はボクたちが教えてあげるから。」


一番星の言われるままにトニーサンタはジョンに股がりました。

「トニー、絶対にボクの首輪から手を放してはいけないよ。」

ジョンはトニーを乗せて勢いよく駆け出しました。そして窓際まで迫ると、これまた勢いよくジャンプをして外に飛び出してしまいました。

トニーの部屋は三階にあります。トニーは恐くなって目をつぶるのですが、いつまで経っても落ちる気配を感じません。

「トニー、大丈夫だから目を開けてごらん。」

親友に誘われてトニーは思いきって目を開けてみます。

「わあっ。」

トニーは夢のような光景に喚声をあげるばかりで、さっきまで恐がっていたのが嘘のようです。

「ジョン、凄いよ。キミ、虹の上を走れたんだね!」

「トニーがサンタになるって言うからボクもトニーのそりになれるように星たちに頼んだのさ。それに、これは虹じゃなくて星の尾ひれなんだよ。」

一番星がトニーたちの少し前を泳いでいました。その星が作る飛行機雲のような光の筋の上を、ジョンは風のように走っていたのです。

光の筋は万華鏡のように、虹よりも複雑に、その姿を変えています。


「僕たちはサンタの村に向かってるの?」

「そうだよ。皆、すでに大忙しさ。だからキミも負けずに頑張らないとね。」

2人の前をスイスイと泳ぐ一番星が答えました。すると、トニーは小さく溜め息をつくのです。

「どうしたんだい。まだ恐いのかい?それとも、家に帰りたくなったのかい?」

トニーは首を横に振りました。

「ただ、お父さんとお母さんに『いってきます』を言っていないから――――。」

トニーの答えに、一番星も満足そうに頷きました。

「本当にキミは良い子だね。キミのような子どもにサンタをやってもらえるなんて、本当に楽しみだよ。大丈夫、お父さんとお母さんにはボクたちから伝えておくから心配しなくても大丈夫だよ。」

一番星は輝く胸をドンと叩いて、トニーサンタを安心させるのでした。


「ねえ、君の名前はなんて言うんだい?」

「なぜだい?」

「僕の願い事を叶えてくれた人の名前くらい知りたいじゃない。」

一番星は照れ臭そうに頭を掻きました。

「アルタイル。ボクこそキミにお礼を言わなきゃ。冬のそらでボクを見つけるなんて、今までに誰もいなかったんだ。だから、ボク、嬉いんだ。」

アルタイルは喜びのあまり、何度もターンをしました。アルタイルの尾ひれを走る2人もクルクルと回転しながら走りました。

3人の浪漫遊泳ろまんゆうえいは笑い声で一杯でした。


道中、3人はたくさんお喋りをして、スッカリ仲良しになっていました。だから長い、長い旅路もあっという間に終着駅に着いてしまいました。

「それじゃあ、頑張ってね。来年のクリスマスを楽しみにしているよ。」

アルタイルは身も凍える寒空の中、今までで一番の煌めく尾ひれをそらに描いて、トニーサンタを祝し、去っていきました。

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