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リアル脱出彼女  作者: いちの くう
2・修学旅行への進出
8/15

2-3 プロローグ

 ここはSTRAP高校。君たちはこの高校に通う生徒だ。

 今日は待ちに待った修学旅行。朝5時に起きて準備万端。さあ、これからが楽しみだ。

 そして学校に集まった君たちは講堂に集められた。

 ワクワク顔の君たちを見て壇上の教師の一言が全ての始まりだった。

「お前たち、どこか気が抜けすぎてるんじゃないのか?」

 雑談の声が消え、一斉に辺りが静まり返る。

「これはお遊びじゃないんだ。修学のための旅行なんだぞ。そのリュックの中を確認すれば化粧道具や規則に反して300円以上のおやつも入ってるんだろうな。勘違いしては困る。これは遊びじゃないんだ。そう、正直言うと頭の悪い者が行くような場所ではない。せっかく行っても何も学ぶものがなくて観光写真とお土産に夢中なだけだろ。よってここでひとつの問題を出したい」

 その問題の発言で再びざわめき出す。

「いいか、今から問題を出す。制限時間は1時間。それ以上経つと以降のスケジュールに支障が出るからな。それまでに解けないようでは困る。よってその者らは修学旅行を中止とし、期間中は学校へ登校して復習と自習をしてもらう」

「まじかよ」「ふざけるなよ」そのような発言もちらほら聞かれた。

「お前たちは現在修学旅行へ行けるかわからない立場だ。しかしこの問題を解けば誰に許可を取ればいいのかが書いてある。そこまでわかれば合格としよう。騒ぐのは勝手だが時間の無駄だぞ。既にチームごとにファイルは届いているな。よし、それでは開始だ」

 ほんのしばらくの間があり、周囲は騒然となった。



 正面のスクリーンの映像が終わり、室内の灯りが戻った。

 同時にステージ横から1人の男性が現れる。そしてステージに上がり、一礼。

「みなさん、こんにちは。STRAPの司会進行を務めさせていただく高橋です。よろしくお願いします」

 会場からの拍手。

「さぁ、大変なことになってしまいました。皆さんは修学旅行気分で朝早く学校に来たものの教師側の意向によって阻まれてしまいました。しかし、どうやら出された謎を解くことで修学旅行へ行けるようです。そしてその最終的には許可を貰う人物がわかるようになっています。それが正解であれば『修学旅行への進出』ができる事になっています」

 これまでの流れは今までと大して変わりはない。

 そして最後に脱出への重要なヒント(ポイント)を言ってゲーム開始になる。のだが今回は違った。

「ところで、今回肝心の修学旅行先が一切出てきていません。こちらで特定の場所を決めても良かったのですが、人によって好き嫌いがあります。沖縄にしたら日焼けが心配、北海道にしたらバス移動が大変、京都にしたらお寺はもういい、海外はパスポートの準備が面倒……そういった問題が発生することが考えられましたので旅行先は私たちではなく、参加者の方に決めさせていただいています。ちなみに早い者勝ちですが、どこか行ってみたい場所とかあるでしょうか?」

 静まり返る室内。

「参考までに過去の公演では東北、ハワイ、イタリア、南極なんてのもありました。どこでも大丈夫なんですが、どなたか行ってみたいところありませんか?」

「…………火星」

 誰かが言った。どっと笑いが起こった。

「かせい? それは水金地火木……の火星ですよね。えーっと、行くまでに、というか行って帰ってくるまでどれくらいの年月が経つのかわかりませんがせっかくなので中々行くことができない『火星』でよろしいでしょうか?」

 笑いながらうなずく面々。

「では修学旅行先は火星に決まりました。それと最後に私から大事なヒントをお伝えします」

 すこしだけ勿体ぶるように2、3秒ためた。

「先生は皆さんが思っているよりかなり親切です。……もう一度言います。先生は皆さんが思っているよりかなり親切です」

 言いきってしばしの間。

「あと、最後に1つだけ。これは本当に問題に関係ありませんが、今回明らかに年齢的に逸脱しているにも関わらず制服で参加していただいた一部の皆様へ感謝の言葉を述べさせていただきます。ありがとうございます」

 やはりどこの世界にもマニアはいるようで、この公演のために学ランを着てきている……確実に30以上の男性3人組もいた。笑いの的だ。

「はい、それでは修学旅行へ行けるようにぜひとも頑張ってください。制限時間は1時間。ゲームスタートです」

 照明が完全に明るさを戻してこれから1時間の謎解き漬けが始まった。

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