簡潔な説明 白の1人2役?
とりあえず校長先生たちに説明したことは、
この少女はディアといい僕の知り合いで、なんと今回きた留学生の1人であること。
御堂先輩が使っていた魔道具は『強欲の取引証明書』といい、この魔道具の特徴として奪った寿命をすぐに消費するのではなくすべての寿命を奪ってから消費すること。
ディアの魔法《現状維持》により御堂先輩のすべてのことはディアが魔法を使った瞬間から変わらなくなったこと。
そしてその魔法が切れるまでの3日間のうちに『ある人』に会うことができれば可能性は低いが何とかなるかもしれないことを話した。
それを聞いた後校長先生はいったい誰を探すのかと聞いてきたがそれに答えることはできないと言うと察してくれたようで僕に3日間の授業欠席を認めてくれた。
そうして僕はいま海を1人泳いでいるというわけである。
………その話を聞いているとどうしてそうなったかを知っている僕でもなんでだよ!!って突っ込みたくなるね。
いやいやいや、それは僕も思っていたけどそれは思っておくだけにとどめようよ。
だから『思って』いたんじゃあないか。そもそも僕たちは今、精神で会話しているんだから思ったことをわかってしまうのはしょうがないだろう?
それはそうだけどさあ、というかずいぶんと話してくるね。『愛情』の僕がそんなに話しかけてくるなんてそんなになかったと思うんだけど?
ふふ、君はというか僕は遠回りな性格をしているねえ。僕が何を思っているかなんてわざわざ聞かなくてもわかっているんだろう?
親しき中にも礼儀ありって言うからね。大本である僕から分割された君でもきちんと話し合うべきだと思ってるだけだよ。
だからといってほかの僕たちに体をまかせてこんな意識の深層で話し合う必要はないんじゃあないのかな?
それこそ聞くまでもないことだろう、僕の中で一番彼を気に入っているのは君なんだからさ。
そうだね、僕を裏切ってもいいくらい彼のことを気に入っているからね。でもそんな心配をするならそもそもあんなことを言わなければよかったのにさ。
しょうがないだろう、あそこで助けると言わなければディアに見捨てられていたんだから。彼女との縁がどれほどのものをもたらしてくれるのかは知っているだろう?
さすが僕たちの大本だけあって打算で生きているんだね。僕らは君から分割されたから大本の君の考えで読めないところがあるからねえ。
そんなのはそっちもそうだろう、君たちだって成長して君の言う大本の僕にも分らないところを作っている。まあ成長のあかしだと思うとうれしいところがあるけどね。
それに僕はそもそも今ある全ての『僕』を産んだんだよ?当然君たちのすべてを僕は持っていたんだよ。
もともと持っていた性質を別々に分けて成長させて強化しているのは分かっているよ。将来大本に吸収されるのもね、でもそんな僕でも守りたい人や興味のある存在はいるんだよ。
じゃあせいぜい頑張るんだね、ほらもうそろそろ彼に会えそうだよ。
………かならず守って見せるよ、何を対価にしてもね。