第一試合 崩れる余裕
「《雷槍》!!」
「《氷槍》」
「そんなのは無駄さっ」
開始早々魔法を放つ2人に対して御堂先輩は魔法を使わずによける。
そうよけたのだ宏太の雷を魔法を使わずに。
そのことに驚きながら2人は魔法を打ち続けるがそのすべてを避けられている。
僕の見たところあの先輩はたいして強くないはずなのに現実は宏太と秋の2人がかりで戦いにすらなっていない。
聖剣を使ってあの先輩を見ようかと考えたが審判が不審な動きをしたら文句が飛んできそうなので自重する。
僕は自分を優先するのだ。
「「《氷龍雷臨》」」
「無駄だと言っただろう」
2人はイメージを共有しながら魔法を使うことによって生み出した大きな氷の龍を御堂先輩に突撃させた。しかしそれはあっさりとかわされてしまう。
2人の合成魔法すらも避けるのか、しかし今のは直線的すぎるし避けてもおかしくは………氷の龍?
さっき2人は氷龍雷臨と言っていた。魔法の名前はイメージを強化するためにその魔法の印象をつける。
ならば雷臨とは、
「それではそろそろこちらから、なにっ!?」
余裕を見せていた先輩の表情がおどろきに染まった。それはそうだろう、なんといっても避けたはずの龍が割れ、中から無数の雷が出てくるなんて予想できることじゃあないだろうからね。
しかし慌てているはずなのに体は正確に雷を避けている。そして自分が避けていることを知り再び余裕を取り戻した。
………いまの反応を見るに自分で避けているわけじゃあなさそうだな。
「ははは!!どうだわかったかな?君たちでは私に勝てないということを」
「そいつはどうかな《音無》」
「なにをしてもむ、ガハッ!?」
「どうした先輩?これからだっていうのにまさかもうだめとか言わないよな?」
一瞬で先輩の目の前に現れ、先輩が吹き飛ぶという光景を見た僕は宏太が何をしたのかを分析する。
魔道具を使った気配はない、しかし魔法で早く動いたのだとしても雷を無意識で避けれる人にどうやって攻撃を当てたのか?
しかもその状況はまだ続いている。先輩も避けようとしているのだろうが避ける前に吹き飛ばされている。
黄色の属性や魔法で唯一可能性があるのは変化属性である光だが彼が光を使えるとは聞いていないし、何か違う気がする。
そしてそろそろ聖剣を使ってしまおうかなと思い始めたころにようやく謎が解けた。
そしてそれと同時に先輩のほうはイライラが限界を超えたらしくわめいている。
「てめえら調子に乗ってんじゃねえぞっ!!これでもくらいやがれ!!」