雪白一族の恋愛観
「れ、蓮さん!?いつからそこに」
「そんなことはどうでもいいのよ。いま問題なのは瞬ちゃんが誰を好きなのかよ!!さあ正直に言いなさい!!」
やはり連も女子なのか、そんなに人の恋愛が気になるものなのだろうか?
僕は愛についてならともかく恋については経験がないからな、だから瞬、そんな目で僕を見ても無駄だ僕にはどうしようもない。
(そんなことを言わないでください!!)
いやいやいや、平凡な男子高校生が人の恋愛というものを目の前にした女子高生に勝てるはずがないじゃないか。
そもそも最初に僕じゃなくて奈々たちに相談した君が悪い。いや僕に相談されてもどうしようもないけどさ。
(なにか、なにかこの窮地から脱せるものはないんですか?)
………しょうがない助けれるかは分からないけどやってみようか。
「はいはい、3人ともそこらへんで落ち着いて、瞬の好きな人が誰かを確認する前にしないといけないことがあるだろう」
「いったい何があるっていうんだよ。好きな人を誰か確かめるのより先にしないといけないものなんてないだろ?」
「いやいや、まずは瞬の気持ちが恋なのかそれとも愛なのかを確かめるべきだろう」
「それって同じものじゃないの?」
やれやれ最近の若い子はそういうのをちゃんと知らないのかねえ。
「いいかい?愛はあげるもので恋は自分のところにいてほしい、来てほしいっていう感情だよ。愛は見返りを求めないけれど恋は相手に振り向いてほしいそう僕たちは思っているんだよ」
「そんな違いがあったのですか………」
「とはいえこれはあくまで雪白一族の教えだから世間一般でもこういわれているっていう保証はないんだけどね。それで瞬、君は愛と恋どっちをしているのかな?」
この返答によってどうするべきか変わってしまうからよく考えてほしいのだが、そんなことをわざわざ言わなくても瞬ならわかってくれているだろう。
まあそんなことを聞かなくても『真実の聖剣』を使えばすぐにわかるのだけどね。
とはいえ仲間にそんなことはしたくないし、そうまでしなくては信用できないわけでもない。だから使わずに瞬の考えた、感じたことを瞬の口から聞かせてほしい。
中学時代はなんだかんだで助けてもらったこともそれなりにあるのだ、彼は助けたと思っていないだろうがそれでも返したい恩があるし、恩がなくても助けたいのだ。
みんなが見つめる中、瞬は5分ほど考え込んでいた。そして何を言うのか、言いたいのかがわかったのか顔を上げ口を開く。
「わかりました、僕のこの気持ちは………」