緑の疑惑
いったいどうなっているのだろうか、なぜ瞬は奈々だけでなく茜にも迫られているんだろうか。
というか何を2人でやっているのだろうか、中を確認したくなるがドアを開ければもちろん魔道具を使ってもばれるだろう。
(ちらっ)
(ワクワク!!)
だめだ蓮は頼りにならない。いったい何が楽しいのかその眼は僕が初めて見るほどに輝いており、なぜか肌もつやつやしている。
しかしさすがにこれ以上聞くのはまずいだろう。蓮を連れてどこかに行って時間をつぶそうか。
その考え通りに蓮をつかみ、引きずって5メートルほど進んだ時にその言葉は放たれた。
「それで瞬ちゃんの好きな人は誰なんですかー?」
(バッ!!)
一瞬で部室のドアに耳を当てる僕と蓮、彼女の顔を見ると笑顔というよりにやけた顔をしているが僕も似たようなものだろう。
本当なら部室に入って僕も瞬の尋問に参加したいのだが、下手に入って瞬に話を変えるきっかけを作るのは避けたい。
そのためにこうして中の話を聞こうとしているのだ。
「いえ、ですから好きな人というわけではなくてですね」
「なに言ってんだよ!!お前が今朝『人を好きだってどうやったら確信が持てるのでしょうか』って聞いた時点で誰かに惚れてるのは分かってんだよ!!」
「いえ、ですから!!私はみなさんの考えを知りたかっただけで」
「顔を赤くしながら聞いてきた時点でそんなのは嘘だってわかりますよー」
「いやいや普通こういうのを聞くというのは恥ずかしいものでしょう?特に私は男ですからね、恥ずかしさは女性の比ではないんですよ」
「またまたー、たしかにそういう恥ずかしさもあったんでしょうけどそれだけじゃなかったでしょー?」
く、どうして僕はその時いなかったんだ!!筋骨隆々のイケメンが顔を赤らめながら小さい女子に恋について聞くなんていう面白い場面をなぜ見なかったんだ!!
いや待て落ち着くんだ。これからうまくすれば僕にもその光景を見ることができるはずだ。
なんといっても瞬はまだ告白もしていないのだ。それならこれからどうすればいいのかを聞こうとするだろう、その時がチャンスだ。
「で、もうそういうのはいいから誰を好きになったのか言えよ。相手によっちゃああたしたちだって協力できるかもしれないんだから」
「そうですよー、瞬ちゃんだって一人で悩むよりみんなで考えたほうがいいことだってわかりますよねー?」
「それはそうですけど………」
さあはっきりするんだ瞬
(バンッ!!)
「もうシャキッとしなさい!!そんなんじゃ振られちゃうわよ!!」
………もう少し我慢しようよ蓮。