戻る体 画策する白
「なるほどねつまり蓮の体に奈々が、奈々の体に茜が、茜の体に蓮が、そして僕の体に名伏が入っているんだね」
合流してから彼女たちに聞いた話ではそうなっているようだ。さらに蓮たち女子3人には僕の分割した意識が入っているということらしい。
「どう透君、体を元に戻す方法を何か思いついた?」
「そうだねえ、まあ戻る可能性のある方法が一つあるかな」
「本当かっ!?」
「確実ではないけどね」
まあせいぜい成功するのは6割というものだが、わざわざ不安をあおることもないだろう。
失敗すればそれはそれで面白いしね。
………こんな性格だからときどき壊れていると言われるのかな?
「それじゃあ体を戻してみるから蓮たちは僕を中心に自分の体の右肩をつかんで円になって。名伏は僕の背中から両肩を掴んで」
「了解」
「わかりましたー」
「わかったよ」
「………これでいいの?」
「オッケーオッケー、それじゃあいくよ」
(にゅるり)
「「「ひゃあっ!?」」」
「「うわぁっ!?」」
なんか今ぬるっとした!?
「ちょっと透君!!なにしたのよ!!」
「おい待て黒羽、俺は名伏だ!!」
「え?………あ、私も戻ってる?」
「おお、本当だ!!」
「やっぱり自分の体が一番ですねー」
ふう、僕もちゃんと全員そろって戻れたみたいだ。いちおう体や精神でおかしいところがないか調べたが、それも問題はなかった。
まあ完全な成功と言っていいだろう。
「ところで透君、いったいどうやって私たちの体を元に戻したの?」
「確かに気になるな」
「教えてくれませんかー?」
ふむ、まあ別に教えても問題はないかな。
「蓮たちの体にある僕の意識を使ったんだよ。さっきまでの僕たちは精神と体が完全につながってはなかったからね、まず無理やり僕の意識を名伏の体に集めたんだ。
で、僕の意識が蓮たちの体から離れたときに君たちの精神も体から離れて一番慣れた体に引き寄せられたんだ………と思う」
「って思うかよ!!」
「しょうがないじゃないか、この方法はそもそももしかしたらできるかもっていう思い付きに近い方法だったんだから。僕がわからなくてもしょうがないだろう」
むしろ何の問題もなく成功したことは僕にとってかなりのおどろきなんだけどな。
成功率6割で何の問題もなく成功するなんて幻覚にかかっているのではないかと疑うほどだ。
とはいえここに僕たちの敵対者が入れるはずもないし、リーダーたちもそんなことをする理由はないだろう。
そして僕の体が戻ったことでついにあのプロジェクトを始められる。
そう、『プロジェクトS』を始めるのだ。