定まらない覚悟
「ところで透、何か策はあるか?ないなら今すぐ考えてくれ」
「作戦を考えることもできないなら今の僕は役立たずもいいところだね。とりあえず物量で押していこうと思っているけどできるかい?」
「ここで戦うなら50が最大だと思う」
50か、テロリストの情報がない以上その数では安心できない。とはいえこの会場を壊していくわけにもいかないからな。
「あんたたちどうにかできると思ってるの?わかってるの石倉、あんたはただの学生なのよ、テロリスト相手に勝てるわけがないでしょう!!」
「そうです圭介さま、圭介さまが私たちを守ろうとしているのはうれしいですがそれで圭介さまが傷ついたらとても悲しいんです」
「それは………」
アイドルの2人はまだ納得していないのか、圭介もそんな2人に揺れているみたいだし、まったくもって甘いとしか言えないなあ。
圭介には普通の生活を送ってもらってもよかったけど選んだのは彼自身だからな。
たとえ周りの人が彼を化け物ということになってでも戦い続けてもらおう。
「圭介、君はいったい何を迷っているのさ。君はもう戦うことを選んだんだ、その時点で君は普通の学生であることをやめて『人間』と呼ばれることを諦め、『化け物』と呼ばれても『怪物』と呼ばれても最後の1人になってでも戦う、そんな存在になったんだよ。少なくとも今ここでテロリストの相手を終えるまでにね」
「それは………」
「ちょっとアンタ!!こいつの知り合いだか何だか知らないけど勝手なことを言わないでよね!!」
「勝手じゃないさ、全部圭介が選んだことだ。むしろ圭介の意思を聞こうとしないそっちのほうが問題なんじゃあないのか?」
「なんですって!!」
「初音、落ち着いてください」
「なに言ってるのよ唯。あたしがここまで言われて引き下がると思ってんの?」
「時と場所を考えてくださいと言っているのです!!もしかしたらテロリストがすぐ近くにいるかもしれないんですよ!!」
ふむ、たしかに彼女の言う通り普通ならここで言い争うべきではないのだろう。
だが今はあえて水樹さんと言い争う。そうする必要があるのだ。
「だいたいアンタが言ってたさっきの作戦だって自分は何もしないで石倉に頼ってたじゃない!!自分で何もできないくせに人に押し付けるってどうなのよ!!」
「そっちこそ何もできずに逃げるしかないやつはさっさと逃げなよ。後でテロリストたちに捕まったのを僕のせいにされたらたまらないからね」
「なんですって!!」
「なんだよ!!」
「2人とも今は言い争うところじゃないだろっ!!」
………やっと動いたか。