友の覚悟
「それじゃあ圭介、君は転移の魔法が使えるかい?」
「使えるけど場所によるからな。何か目印があれば行けると思うんだが」
目印か………分割している僕を目印にできるかな?
「ちょっとあんた転移魔法なんて使えたの?」
「まあね、ただあまり使う機会がなかったから言わなかったんだよね」
「ふうん、そうなんだ」
相変わらず圭介は自分の力を隠したいみたいだな、水樹さん達に圭介のことを話していいと言われたけどできるだけ話さないようにしてあげようかな。
「それじゃあ」
(ドゴン!!)
「きゃあっ!?」
「うわっ!?」
爆発音が聞こえたと思ったら建物が激しく揺れた。
「みんな大丈夫?」
「マネージャー?いったい何が起きたんですか?」
「歌唱魔法使いを狙ったテロよ!!警備の人たちが応戦しているからあなたたちは今のうちに逃げなさい」
テロか、歌唱魔法使いは歌や踊りで魔法を発動できることから街中での奇襲とかに使えるけどそれをさせるつもりなのかな?
まあそんなことよりも圭介がどうする気かを聞いておこうかな。
「圭介、君はどうするんだい?このまま警備の人にまかせておくのかな?」
「それは………」
「なに言ってるの逃げるわよ!!」
「圭介さま、名伏さま警備の人を信じて今は逃げましょう」
アイドルの2人はさすがに逃げるを選ぶか。まあ万が一にでも捕らえられたりしたら面倒なことになるからな。
仕事として多くの人に歌唱魔法使いだと知らせるアイドルなら事務所でそういう教育を受けているんだろうな。
とはいえ圭介は別だ。彼の魔法なら無傷でテロリストを捕獲することもできるだろう。それだけの力を彼は持っているはずなのだ。
「まあ圭介、君が戦おうが逃げようがどちらでも構わないけどどちらかにすると決めたならそれを最後まで貫きなよ。途中で自分の選択を変えるんじゃあないよ」
「………お前は相変わらず厳しいな」
「君のことを考えてるからだよ。僕は君がギルドに入るのを断ったあの日のことを覚えている。君があの日言ったことはそう簡単にできることじゃあない。だからこそ厳しく接して鍛えているんだよ」
「よく言うよまったく。水樹さんと唯さんは逃げてください。俺はテロリストの足止めをしますから」
「なに言ってるのよそんなのできるわけないでしょう!!馬鹿言ってないで逃げるわよ!!」
「ごめん水樹さん、ここで逃げたら俺はダメになるんだ。だから戦うよ」
「そんな………」
「圭介さま………」
圭介が覚悟を決めたんなら僕も全力でサポートしようか。