白の手伝い
「グッズの販売は列になってお待ちくださーい!!人を押さないでくださーい!!」
「はい、お疲れ様でした。いきなり手伝ってもらって本当にありがとうございます」
「いえいえ、何か急な用事があるわけでもなかったし僕も楽しみましたからね。いい経験をさせてもらったと思いますよ」
「そうですか。何か手伝えることがあったら言ってください。できる限りのことをしますので」
ふう、いい仕事をしたな。まさか圭介と一緒にいた2人があの有名な歌唱魔法使いだったとは。
しかも機材トラブルか何かで色々と準備が間に合わなくなりそうだったから僕に助けを求めたとか。
………圭介のやつ僕に気付いてるだろ絶対。
普通見ず知らずの人にそんなことを頼めないし、術式を教えただけとはいえ魔道具の作成を手伝わされたりするはずもない。
まあそんなことは別にどうだっていいことだ。今すぐにリーダーのもとに行くために何もできないなら暇をつぶす必要はあったのだから。
だから問題はただ一つ、アイドルと仲良くやっている圭介をどうやって処刑するかだ。
まあ下手の考え休むに似たりと言うし、とりあえず圭介から手伝った分の報酬をもらいに行ってそれからどうするか決めるとしようかな。
(コンコンッ)
「はーい」
「すみませんここに石倉さんはいませんか?」
「石倉君ならいますよ。どうぞ入ってきてください」
許可が出たので部屋に入らせてもらう。するとそこには女性に後頭部を踏まれ床と熱烈なディープキスをしている男の姿があった。
というか圭介だった。それを理解した瞬間に彼と知り合いだった事実を消したくなる。まさかずいぶん合わない間にこんな趣味に目覚めていたとは予想外である。
「ちょっと水樹さん足をどけてくれませんか?」
「いいわよ」
そういって床を踏んでいた足を上げる女性、その結果当然………
「イタイイタイイタイ!!頭が床につくから!!むしろめり込んできてるから!!」
そんな漫才も終わりまずは面識のない女性二人と自己紹介をする。
「どうも水樹 初音です」
「木戸 唯です」
「どうも今は名伏といいます」
「今は?」
まあ気になるよな。しかしそれに答える前に聞かなければいけないことがある。
「その前に一つ。圭介、君はこの二人とどれくらい親しいんだい?」
「それなりに親しいと思いたい!!」
「つまりこの二人をストーキングし続けた結果、逆に目の届くところにいなければ不安だからという理由でパシリにさせられたということだね」
「全然ちげえよ!!ストーキングをしたこともないしパシリでもないからな!!」
「君のことはどこまで話していいのかを聞きたいんだけど」
「別にどこまででも話していいけど」
ふむ、そう言われたなら話すとしようか。圭介の力が僕の予想通りに成長しているならリーダーのところに帰れるかもしれないしな。