白と白の会話(後)
「それで話を戻すけど、そんなに旅をしたいのかい?」
「したいというか行きたいところがあるんだよ。できるだけ早く行っておきたい場所がな」
「ふうん、 まあやりたいことがあるならその邪魔をするわけにはいかないね。後でリーダーに伝えておこうか?」
「ああ頼む。俺も伝えておくがあいつには俺にさせたいことがあるかもしれないからな。予定を変えさせるのも悪いしギルドメンバーの予定を知っておいて損はないだろ」
「それじゃあ話し合いはそろそろ終わりかな?」
「まあそうだな。それじゃあ蓮たちの様子でも見とくか」
「そうだねえ………おっ、茜が竜宮城についてるね。意外と彼女は強いから普通の僕じゃあ簡単なのかな?」
「純粋に実力だと認めてやれよ。というか、なんで乙姫が半魚人なんだよ?」
「いや、人面魚と半魚人でどちらにするか迷うんだよね乙姫は。でも魚を食べるなら体は人間がいいのかなと思ってね」
「なるほどなあ。奈々の奴はおばあさんからキビ団子をもらおうとしてるのか」
「なるほどねえ、性質魔法の《成長》を変異させたのか。でもそれで使い勝手がよくなっても今度は使い慣れてないから負けているみたいだね」
「性質魔法を変異させるってだけでもたいしたもんだけどな。………問題は蓮だな」
「まあ彼女が相手をしているのは僕の怒りと憎しみだしね。アレは黒羽一族に特化しているから蓮にとっては相性最悪の相手だから負けるのはしょうがないさ」
「でも今ので何回目の負けだ?見てる限り何もできてないじゃないか、これじゃあ修行にならないだろ」
「そうでもないさ、蓮は負けながら何が通用しないかを確認していってるみたいだからね。もう1000回も負ければ反撃できるだろう」
「そんなにかかるのかよ。蓮の精神は持つのか?ここで精神が死んだらどうなるかわかってるんだろ?」
「まあねえ魔道具『理想現実』もとい名伏の魔道具としての力『仮想幻実』に『接続の聖剣』を使って蓮たちの精神を連れてきたからにはもちろんどうなるかをわかっているよ。
でもこの程度で死ぬならどのみちすぐ死ぬことになるからね。これくらいがちょうどいいんだよ」
「あと4年ぐらいか?」
「そうだよ。あと4年で僕は望みを果たす、そこに例外はない」
「そっか」
「僕は止まらないし止まれないからね」
(バキンッ!!)
「何の音だ?」
「………折れてる」
「なんだって?」
「『接続の聖剣』が折れてる。今まで僕を分割している状態で使ってたからたぶん『破滅の聖剣』が暴走して折ったんだと思う」
「おい、それじゃあどうな………」
「なにこれっ!?」