白と白の会話(前)
やれやれ3人の修行なのに見事に負けてるなあ。
いま僕の目には3つの映像がある。それぞれ3人の修行風景が映っているのだけど見事に負け続けている。
「難易度が高かったのかなあ。どう思う名伏?」
僕はいまこの空間にいる名伏に聞いてみることにした。
「難易度が高くてもできるようにならないとこれから大変だろう」
「そうだよねえ、ところで話は変わるけどなんで悠に蓮たちをギルドに入れさせたのか教えてくれない?」
「なんのことだ?俺がいったいどうやって悠にそんなことをさせられるんだよ?」
「また白々しいことを。よくそんなことが言えるね」
「そいつはしょうがない、俺は白い人間だからな」
「いまのあんたは名を伏せているんだろう?白かどうかもわからないんじゃあないのかな?」
「というより、今の話を聞いてる人がいるとしてついてこれている人はいるんだろうか?」
「さあねえ、とりあえず『雪白一族』は100年前に自然発生した一族で名伏が雪白の精霊だと知らないとついてこれないのは確かじゃない?」
「おい!!そんなあっさりとネタバレすんなよ!!」
「何を焦っているのさ、別にこの程度はいいじゃあないか。さすがに僕が生きた魔道具だというのはそう簡単にいうべきではないけれど」
「わーー!!あーー!!だからなんでお前はあっさりと大事なことを言うんだよ!!」
「それで勇者のほうはどんな感じなのさ」
「お前ってやつは………勇者は変わってねえよ。あの大会の時に雷が聖剣を使っていたのは従者の武器を一時的に聖剣としたらしい」
「そんなことができるとはねえ。アレも成長しているということなのかな?」
「だろうな、少なくとも聖剣からしてみれば都合のいい人間だからな。そう簡単には捨てないだろう」
「ふうん?そういうのは分からないけど名伏が言うならそうなんだろうね」
「まあ勇者の話はそんなもんで、徳治の爺さんたちに魔道具を届けたし聖剣も預かった。あとは聖剣を届ければお役御免ってことでいいんだよな?」
「そうだけど?………ああ、働きたいんなら僕を手伝ってくれればいいよ」
「違うわっ!!一高の校長との約束をいちおう果たしたからな。また旅をしようと考えてんだよ」
「旅をするっていいよね。とりあえずそう言っておけば自分が無職で家がなくてもなんだかまともな人間のように聞こえるもんね」
「なんてことを言ってんだお前は!?今すぐ旅をしている人たちに謝れよ!!」
「いや、これは名伏だけで他の人には当てはまらないからね。なに他の人を巻き込もうとしているのさ」
「お前ってやつは!!本当にもう!!」