夏に現れる敵、その名は
誤字を1つ訂正しました(10月20日)
聖剣を貸してほしい、その問いに対する答えは次の通りだった。
「聖剣を貸すのはいいけど何に使うの?」
当然の質問だ。だから答えよう、彼女たちはそれを知る権利がある。
「僕にとって今のところ一番の強敵と戦うためにどうしても必要なんです」
そう、あいつらを制覇するには今のままではだめなのだ。
「そんな強敵と戦うなら私が手伝ってあげてもいいんですよ?」
「悠の申し出はありがたいんだけど、あいつらは僕の力でやらなければだめなんだ」
その言葉を聞きリーダーたちは真剣な表情になり、僕に聖剣を渡してくれた。
「これを貸すんだからちゃんとやるんだよ」
「はい、必ず果たして見せます!!」
聖剣がそろったところで始めるとしようか。
「それじゃあこれから雪白 透の簡単魔道具作りを始めまーす!!」
「わーい!!」(リーダーの楽しそうな笑顔)
「ヒューヒュー」(にこりともしないのに声だけは明るい悠)
『いえーい!!』(蓮と亮介さん、宏太以外の学生メンバー)
「「「「パチパチパチ!!」」」」(戦隊たちの拍手 ブルーは埋まっているため口で言っている)
「ほら蓮たちもテンション上げないと」
そろそろこのノリに慣れてもらわないと困るのだけどなあ。
「ええー!!私たちが悪いの!?」
「悪いとまで言わないけどよくはない。これからは状況に合わせた行動が必要になってくるんだからそろそろ慣れないと」
「そうですよー。実際に私たちはちゃんと乗ったんですからー、蓮ちゃんだけでなく亮介先輩と宏太君も頑張らないとー」
「ああ、次からはできるように努力しよう」
「頑張ります!!」
「………わかったわよ」
蓮も納得したようだ。それじゃあ魔道具を作ろうか。
「はい、それでは魔道具を作りますね。まず用意するのは『時間の聖剣』『倍化の聖剣』、『無限の聖剣』、『増殖の聖剣』、そして『連結の聖剣』の5つです。
最初に『増殖の聖剣』を使い『連結の聖剣』以外のほかの3本の聖剣のコピーを作ります。次にそのコピー3つを『連結の聖剣』で1つにすると………はい、できました。自分を複製し、その複製で囲んだ場所の時間を2倍に引き延ばす魔道具の完成です」
『おおー!!』
今度は蓮たちも一緒にできていた。何気に彼女たちは順応性が高いんだよなあと思いつつ作った魔道具で島を囲み時間を倍にする。
「ん?透ここで使うの?」
「ええ、ここであいつらを倒そうと思っているんですけどダメですか?」
「いや、ダメじゃないけど………ちなみに何を相手にするつもりなの?」
まさかリーダーは分かっていないのか!?急いで周りを見渡すと全員分かっていないようだった。
これは早く言うべきだろう。
「僕が相手をするのは、たいていの人が相手をする夏休みの宿題です!!」
僕はそういうと固まってしまった蓮たちの前に立ち、腕を振る。
「さん、はいっ!!」
『宿題を忘れてたー!?』
完璧だな。
「ど、どうしよう私生徒会長なのに宿題をやっていないなんて!!」
「どうしよう、もう夏休みは何日終わったんだっけ!?ああ考えたくない!!」
みんなほどよくパニックだった。それじゃあ救いの手を伸ばそうかな。
「みんな落ち着いて、この島の時間をさっき倍加させたから時間はまだあるよ」
『あなたが神か!!』
「おわっ!?」
みんなどんだけ宿題が終わらないのが怖いのだろうか。ときおり「透様ー」とか聞こえてくるし。
まあこれで修行を半日した後に宿題ができるから何とかなるだろう。