黒はピンクでした(白の反撃開始)
side 黒羽 蓮
(ドンッ!!)
大きな音で目を覚ました。
「え、なにっ!?」
「なんだいったい!?」
みんなもわかっていないみたいで慌てている。
「落ち着きなさい!!」
そんなところに都さんの一喝。彼女は何が起きているのかわかっているのだろうか?
「亮介、透君がいないみたいだけどどこにいるか知ってる?」
「ん?………確かにいないな。宏太、瞬、お前たちは知っているか?」
「わかりません」
「いえ、知りません」
「そうなるとこの音の場所にいるのかしら?彼は私たちと違って昔からこのギルドにいるのだし、何かを察知して1人で向かったのかも知れないわね」
「なるほど、その可能性はありますね。静さん、私たちも行きますか?」
「いえ、私たちが行っても足手まといになりそうだからここで待って」
「それはだめよ」
「!?」
いつの間にかグリーンさんがいた。いや、それより今のはどういうことだろうか?
「グリーンさん、ここで待っていてはダメなんですか?」
「そうなのよピンクちゃん。あなたたちはこれからあの戦いを見に行くのよ」
「すみません。私にピンクはないんですけど」
いったい何のことだろうか?
「あらごめんなさい。そういえばあれからお風呂に入ったから履き替えたのね。それじゃあ今は何色なのかしら?」
お風呂で履き替えた………?着替えたじゃなくて履き替えた?
「ちょっと確認………と言いたいけれど今はスカートじゃないのね。残念だわ」
スカート、ピンク、履き替える………殺す!!
「燃やせ《炎獄》!!」
「《風壁》、どうしたの蓮ちゃん、危ないじゃない」
何をするの?という顔がイライラする。何のことかわかったらしい奈々ちゃんと茜ちゃんが頑張れと応援しているが、それなら手伝ってくれないだろうか。
「まあとりあえず移動するわよ。《風の導き》」
「きゃっ!?」
風が私たちの周りを包んだと思い、閉じた目を開けたときに映ったものはグリーンさん以外の4人と戦う透君の姿だった。
火が襲う、雷が襲う、よけた先の地面が沈み上から水が、周りから風が襲い掛かる。それを全て防いでいく。
火を剣で払い、雷を札で防ぎ、ぬかるんだ地面を跳び、傘をだし水を防ぎ、周りの風を再び札で防ぐ。
4対1であるにもかかわらず透君は一撃も受けずに立ち回る。しかしさすがに攻撃に出ることはできていない。それでも………
「すごい」
誰の口からその言葉は出たのだろうか、そんなことがわからないほどに見とれていた。彼の動きに、そして4人の連携に。そうしてみていると彼がこちらに気付いたらしい。そして………
「いいところに!!蓮、君の力を借りるよ!!」
「へっ?」
side 雪白 透
おそらくグリーンに連れてこられてきた黒羽に1枚の白い札を投げる。狙いは外れず、その札は蓮に当たりその色を黒く染めて僕のもとに帰ってくる。
「そんな札あったっけ?」
リーダーたちは攻撃を止めて聞いてきた。
「なかったよ。これは僕が平和な3年間で作った魔道具だからね」
だからリーダーたちはこの魔道具を知らない。もし知っているのなら攻撃を止めるなんてしなかっただろう。だから期待通りにこの魔道具を使う。
「見せてあげるよ僕の3年の成果を!!『白札』発動!!」
「えっ!?」
僕の変化を見たリーダーたちは驚きの声を上げる。なぜなら僕の髪が黒くなっているからだ。
「それはいったいどういう………」
「白札は人の色に染まり、その色で僕を染める魔道具だよ。これのおかげで僕は魔法を使うことができるのさ」
しかも今の僕の色は黒、だから………
「こんなことができるのさ。《5色の矢》」
「ッ!?」
5属性を1つにまとめ矢として射る、そんなこともできる。
「さあ反撃させてもらうよ!!」