教えて雪白先生!!
「私のことはリーダーって呼んでねみんな。それじゃあさっそく特訓の内容を教えるよ!!」
「落ち着け!!」
「ん?どうしたの透?そんなに怒っちゃだめだよ。笑顔、笑顔」
「あなたが僕を怒らせているんです!!」
疲れる、本当にこの人の相手をするのは疲れる。だけど僕がとめなければ他に止めることのできる人はいない。………あきらめようかな。
「すみません。私たちもいきなり連れてとられて何がなんだかわからないのですが」
「ええ、わからないの!?そんなんじゃこれからやっていけないよ!!ほらほらもっとテンション上げていこうよー!!」
黒羽でも止められないか。こうなったら………。
「《黒札・紅龍》」
「ほえ?いきなりどうしたの透?」
『黒札』の最大術式をあっさりと無効化するか。相変わらずの力だな。
「ここに連れてきた理由を教えてください」
「新しく入った子たちの実力を知るためだよ」
………まだ悠はそのことを知らせていないはずだけど。そこら辺は突っ込んだらダメなのだろうか。
「………だったんだけどね。たった1人に負けたのを見ちゃったからそれはもう終わったんだよね」
「なら、ここに連れてきた目的は?」
「私たちのギルドにそんな弱い子がいたらすぐいなくなっちゃうからね。鍛えあげてあげるよ」
ここから逃げる算段をつけておこう。死ぬ前にここから離れなくては。
「ということで最初は透が魔法や魔道具のことを教えてあげてね!!」
えっ?
「はい、みなさん。それでは授業を始めます」
「雪白君、私たちはまだついていけてないのだけど」
「黒羽さん、僕のことは先生と呼びなさい。そして紅さんを見てみなさい。彼女は授業を受ける準備を終わらせてますよ」
「えっ?………茜ちゃん、私たちいきなりここに連れてこられたのになんでノートとか持ってるの?」
「リーダーが渡してくれましたー」
彼女を見ると『授業に必要なものあります』と書かれた看板とノートや筆記用具が山のように積まれていた。
それを見た黒羽達は何かあきらめたようにそこで授業に必要なものをとってきた。
「それでは準備ができたようなので始めさせてもらいます。まずは魔法についてです」
あらかじめ用意されてあったホワイトボードに『魔力』と書き込む。
「魔法を使うのに必要な魔力には皆さんが知っているように赤、青、黄、緑、茶の5色があります。僕たちは魔法を使う際この魔力を取り込むわけですが、音無君、5色そろっている魔力を取り込むのになぜ僕たちは髪の色で使える色が決まっているのでしょうか?」
「えっ?そりゃあ………あれ、なんでだろ?」
まあ普通は知らないかな。
「まあ知っている人は少ないですからね。僕たちは魔力を体に取り込んだ後、自分の色で魔力を染色しているのです。本来属性色は同じ量の色だと染色することはできませんが、僕たちの体内に入れ、その人の持っている色を使うことで魔力を染色しているのです」
「そうだったのか」
「少し話をそらしますけど、僕たちは生まれてくるときに周りの魔力で体を染色されます。その影響を強く受けるのが髪というわけです。純色の5家はこれを利用して子供の色を決めているんですよ」
「よく知っているわね。一応ほかの国には教えていないことなのだけど」
「このギルドにいるとそういうことはよくあるよ。では次に魔法の属性についてです。僕たちのほとんどは基本属性の魔法を使っています。しかし変化属性というものもあります。例えば黄色の変化属性『光』、緑の変化属性『圧力』などです。これらの属性が使えるかはその人の才能次第ですが、頑張れば何とか使えることもあるので頑張りましょう」
みんなずいぶん真剣に聞いてるな。少し見えたけど会長と速水さんはなにか自分の考えも書いてるみたいだね。これなら彼女たちを勧誘した悠も安心………悠はどこだ?
「リーダー、悠の姿が見えませんけど?」
「悠ならみんながここにいることの説明をしてもらってるよ」
そうか、それなら気にしなくてもいいかな。
「次にいくよ?大丈夫そうだね。次は属性の性質魔法についてだ。これは様々な種類があって、中には対処しにくいのもあるから気を付けてほしい。例えば火の性質である『溶かす』や土の『成長』などがあり、普通の魔法では出来ないことを可能にする技だ。普通なら魔法っていうのは言葉とイメージでその力を変えていくもので、たいていは使う属性を放出して相手に当てるとか壁にするぐらいだけど、例えば土の『成長』は生き物を急激に成長させるということができる。誰かと戦うときは相手が性質魔法を使うかもしれないと用心することは忘れないように」
一気に話したからまだノートをかけていない人もいるな。ここらでいったん休憩にしようか。