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勇者が乗り込んでくるまで

side 赤井 萌


「仁、大丈夫?」


「うん………」


 昨日、雪白が使っていた聖剣を見てから仁は悩んでいる。仁の言う通りならあの聖剣は仁のお父さんが使っていたものらしい。仁のお父さんの死には謎がある。まず死因が不明だということ。体に傷はなかったし魔法を使われた形跡もなかったらしい。次にそのことについて全く調査が行われなかったこと。黒羽の次期当主がそんなことになったのに何も調べようとせず別の人を次期当主に指名したらしい。


 雪白の持っている聖剣が本当に仁のお父さんのものならば彼は何か知っているかもしれない。昨日はついカッとなって力ずくで聞き出そうとしたけど本来は話し合いで解決したいことだ。でもこれから聞こうとしても昨日のことで話し合いに応じてくれないかもしれないと悩んでいるのだろう。

 昨日の夜遅くまで宿で待っていたのだからそんなことを気にする必要はないのにね。そんなところも好きだなあ。


「仁君いるー?」


 そういって入ってきたのは生徒会長の瀬戸 綾香(せと あやか)と私たちの入っているクラブの部長加瀬 智香(かせ ともか)の2人だった。


「僕に何か用ですか?」


「えー、用がないと来ちゃだめなの?」


「え、いや、そんなことはないですけど」


「ふふっ、仁君はかわいいなあ」


「ぶっ!?」


 そういって仁に抱き付きやがった。しかもその豊かな山2つに仁の顔を埋めやがって。普通がいいんだよ、大きすぎるより小さすぎるより普通がいいんだよ!!………そんなことより仁を助けなきゃ。


「すみません仁に抱き付くのはやめてください」


「あら?べつにいいじゃない。仁君だって悪い気はしないでしょう?」


「綾香、私からも言わせてもらうけど離せ」


「………もう少し堪能していたかったんだけどな」


 そういうと本当に残念そうにしながらも仁を離した。


「それで会長いったい何の用できたのですか?」


「静ちゃんもそんな怖い目で見ないでよね。あの雪白って子のことだけどこれから徳治さんたちとなにか話し合うらしいのよね」


「それは本当ですかっ!?」


「ええ本当よ。そこでもしかしたらあの聖剣について話すと思わない?」


「それならすぐにその場所に行きましょう!!」


「まあ待ちなさい。いま行っても追い返されるかもしれないでしょう。だからもっと手っ取り早い方法を使いましょう」




 そういって彼女が提案したのは彼女の風の魔法で雪白たちの声をここに届けるというものだった。しかも彼女しかできないから仁の感謝を独り占めすることになる。私も何かできないだろうか。


「それじゃあいくわよ。風よかの地の音を届けよ《風の渡し手》」


『どうも遅れましたか?』


『いやまだ始まってないから気にしないでおくれ』


「さすが綾香さんはっきりと声が聞こえますね」


「そんなに褒められると照れるわね」


『では黒羽さんこれで全員がそろいましたね』


『そうですな、始めるとしましょうか』


『その前に盗聴対策をしてもいいですか?万が一話が漏れると大変でしょうから』


『頼んでもいいのか?』


『はい。ではもしこの部屋の話を盗聴させているなら部屋に呼ぶかやめさせてくださいね。僕の術式は強力なので』


「こんなことを言っているけど会長、大丈夫なんですか?」


「私の魔法をなめてもらっちゃ困るわね。たとえ政府の魔法使いを相手にしても負けるつもりはないわよ」


『そのような人はいないと言っておくわよ』


『王国もそのようなことはしていません』


『私がする必要がないこともわかるだろう?』


『では部屋に迎撃術式を組みますね』


 そしてそれは一瞬で起こった。


「きゃあああああああああああああああああああああああ!!」


「綾香さん!?」


「どうしたんですか会長」


「ああっ!?許して!!ごめんなさい!!悪かったわ!!お願いやめてええええええええええ!!」


 いきなり会長は叫びだした。まるで何かにおびえているように、そしてそれに許しを請うように叫び続けた。


「綾香さん!!気をしっかり持って!!」


「あげる!!なんでもあげるから!!だから私を助けて!!ああああああああああああああああああああぁ………」


「綾香さん?綾香さん!!目を覚まして!!」


 仁が一生懸命に会長を起こそうとしたが起きることはなかった。


「仁、きっと会長はあの話し合いに参加している誰かにやられたのよ。雪白にこんなことができたとは思えないけど、あそこには他の国の聖剣使いがいたでしょう。その中の誰かならできるはずよ」


「そうですね仁さん、私も萌さんの言う通りだと思います」


「そうか、それなら今すぐ会議の場所に行くよみんな!!」


「「「「はい」」」」


 こんなときだけ心は話すのね。まあいいわ、これから仁のために頑張りましょう。






(ざまあみろ)

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