熱くなる話し合い
「『破滅の聖剣』についてはもう言いましたよ?」
「ええ、ですからあなたの持っているほかの聖剣について教えてください」
これはやられたなぁ。僕は『破滅の聖剣』について教えるというはずだったのに。
「クレセントさん僕に何をしたんですか?」
「あら、気づかれましたか。少し言葉を言い変えさせてもらいました。今回は『破滅の聖剣』を『僕の聖剣』というように同じ意味を持っている言葉に変えました」
「それがあなたの聖剣の力ですか?」
「そうです。私の聖剣『言葉の聖剣・ワードマジック』の力です」
話し合いにおいて最悪の能力だな。僕は言葉を言い変えられたことに気づけなかった。クレセントさんに言われてはじめて気づいたほどだ。相手がそう出るならこちらも遠慮なくいこうか。
「なるほど言葉を同じ意味の言葉に変えたり戦いに言葉を使うこともできるとはなかなか便利な聖剣ですね。交渉に出されたのも納得の力ですね」
「なっ!?」
「どうしました?これが『真実の聖剣・トゥルース』の力ですよ。あとは色々なものを収納できる『収納の聖剣・キャビネット』、あらゆるものをつなぐことのできる『連結の聖剣・コネクト』、そして聖剣を増やす『増殖の聖剣・G』、これで全部です」
「さすが透さん、『みんなでワイワイはしゃぎ隊』のギルドメンバーなだけはありますね」
「いえいえそんな」
「またまたご謙遜を」
(あの2人に入っていけないのだけど)
(今は放っておこう。巻き込まれたくはないしな)
(そうね、そうしましょうか)
ふう、少し熱くなってしまったな。気が付くと3時間も経っていた。
「もう2人の話は終わったの?」
「ええ、有意義な話し合いでした」
「こっちは蚊帳の外だったけどね」
「でも話は聞いていたんでしょう?」
「まあ、それくらいはね」
「それではこれくらいで終わりとしますか。雪白君、偽物の対策はお願いしますね」
「わかってるよ。それじゃあみなさんまた明日」
「ええ明日の試合楽しみにしています」
「あの勇者に勝てるか見てあげるわ」
そういって彼らは出て行った。若干早足だったのが気になるけどまあいいか。
さてと、それじゃあギルドの新入りと悠にいろいろと教えてあげるとしようか。
「さてみなさん、私たちのギルドは時々このように国との交渉があることがあります。しかも相手は今のように魔道具などを使って自分に有利になるようにしてくることもあります。その対策を持つことも大切なことなので覚えていてください」
「悠、そういうことを教えるのもいいけどこれからのことを考えているかい?」
「これからのことというと明日の試合のことですか?」
「違うよ、これから黒羽達1人1人に聖剣を持たせないといけないことについてだよ」
「はい?」
やっぱり知らなかったか。
「ちょっと待って雪白君。私たち全員に聖剣を持たせるってどういうことなの?」
「僕たちのギルドは聖剣を持っていないと色々と危ないんだよ。だから新入りを誘った人がその新入りの聖剣をあげるっていうのがルールでね。悠を誘ったのは僕なんだけど、彼女が誰かを誘うなんて思ってなかったら教えていなかったんだ」
「そうだったんですか。ちなみに透、聖剣をあげるのにいつまでにあげなくてはいけないというのはあるんですか?」
「別にないけど、遅いとその誘った人の評価が下がったりするから気を付けてね」
「できるだけ早く渡します!!」
「それじゃあ、明日の試合について話を」
(バン!!)
「綾香に魔法をかけたのは誰だ!!」
………しまった忘れてた。