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不本意な結末

 焼いてみた………無傷


 水をぶつける………無傷


 風で切り裂く………無傷


 土で押しつぶす………無傷


 雷をぶつける………無傷


 切る、突く、叩く、投げる、殴る、蹴る、撃つ、すべてが効かなかった。僕だけでなく悠たちにも手伝ってもらったがそれでも無傷。変わらずに混ざり合って完成しようとしていた。しかし幸いというか間抜けというかその合体は30分が経っても終わらなかった。もしかしたら完成にはまだ時間がかかるのではないかと考え、攻撃をやめ解析を始めその結果止めることに成功した。


 止めた後によく調べてみると影縫を使ったこの合体は完成するまで1時間近くかかることが判明したのだがそれは仕方のないことだった。この時間は生物と機械が完全な合成を果たすために必要な時間だった。もし僕が同じようなことをするなら最低でも1日は欲しいものをそれほど時間を短縮するとは(僕の実力をそれなりに見積もると)本人が言ったように天才なのだろう。

 しかしなんというか不本意な結末だった。どうして僕は楽に勝てる相手と戦うと妙な結末になるのだろうか。


 とにかくこれで一件落着となったわけだが、大会の決勝戦についてどうなるかは少しもめたらしい。結果的には一高の負けということではなく1日休みを入れ明後日に決勝戦を再び行うことになった。




 そして僕はいま現在、不眠不休で働かされていた。なんでも影縫のことは僕にも責任の一端があるとかで会場の修復をやらされていた。


「どう考えても責任があるのはアリスト王国だろう」


「そんな愚痴を言う暇があるならさっさと終わらせてください。それもできないようなら静かに素早く終わらせてください」


「それってどっちも変わらないよねえ!!」


 ちなみに悠に見張られているのでサボることもできないというわけだ。しかし悠はよく見張りを続けられるな。僕みたいに体を動かしているわけでもなく立っているだけなのに眠くはないのだろうか。

 はっ!?そうかわかったぞ。僕を見張って起きていたせいで肌が荒れたとか言って僕に文句を言うつもりだな。そういうことなら早く終わらせてそのたくらみを打ち砕いてやる!!


 その宣言通りに素早く終わらせた僕は宿に帰って寝よう………と思ってなんかない。もしもこれから宿に帰って寝ると考えた人は僕に騙されたのさ。


(いま朝の2時なのに何で宿の前にアレがいるのさ)


とりあえず寝られるならどこでもいいかな。






side 夢見 悠


 私としたことが失敗してしまいました。せっかく透と2人きりだったのにまともに話すことがないまま終わってしまった。3年も会えなかったから話したいことはたくさんあったはずなのに、暗い夜に2人きりということに気付いてからは緊張して何も考えられなかった。

 そのことを残念に思いながら寝ましたが夢に彼が出てきたのでよしとしましょう。とりあえず今日は透も暇でしょうからここら一帯の観光スポットに連れていき、私の有用さをアピールしに行きましょうか。




「雪白君ならここにはいないわよ?」


 そんなバカな。それでは私の最初の予定である、夜遅くまで仕事をして疲れて眠っている透を優しく起こすということができないではないか。しかもうまくいけば透の寝顔を堪能することもできたのに。いやまだそれができないと決まったわけではない。あの勇者を避けて別のところで寝ている可能性もある。


「どこにいるかは分かりますか?」


「それがさっぱりわからないの。昨日はあれからこっちに帰ってきてないみたいで誰もどこにいるかわからないのよ」


 はい終わりましたー。もう希望はありません。こんなことなら先に私の借りている宿に連れていくんでした。ではここに用はないですね。


「そうですか、教えてくれてありがとうございます。では私はこれで」


「ああちょっと待ってもらえる?」


「はい?」




 私はいまから集団リンチというものを味わうのでしょうか。

 あれから一高の生徒会長さんに言いくるめられ、この宿の会議室(この宿は大会関係者が泊まるためにそういうものがある)に連れてこられた。そこには一高の大会参加者全員が(昨日事件が起こる前に石化を解いた少年も)そろっていた。


「それでこんなところに連れてきてどういうつもりですか?」


「私たちが聞きたいことは分かっているでしょ。雪白君のことよ」


「それについては昨日言いました。黒羽の人間は1日たったら忘れるようなポンコツなんですか?」


「忘れてないわ。当然タダで話を聞こうというわけじゃないわ」


「私に何をする気か知りませんがそう簡単には話せませんよ」


「瞬ちゃんが持っている中学1年から最近までの雪白君の写真や動画よ」


「その話、詳しく聞かせてもらいましょう」


 なんとしてもそれは手に入れなければ!!

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