第57回高校選抜魔法大会開始!!
僕が土屋によって勇者の対策を考えることになってから3日が経ち、僕たちは大会の会場に来ていた。
「ではこれより、第57回高校選抜魔法大会を開催します!!それでは政府最高職員である黒羽 徳治さまから開催の挨拶です」
「黒羽 徳治だ。まず、今回も大会を開催できることをうれしく思う。大会を始めた57年前から変わらずに開催できるということは私のような年寄りにとって本当にうれしいことだ。今回の大会では聖剣の所有者が参加することになるが、魔道具を扱うのは人であり完全無欠な人など存在しないことを忘れないでほしい。私からは以上だ」
「黒羽様ありがとうございました。そして大会参加者の皆さん!!今回の大会になんとユーラシア連合とアリスト王国、そして我が国の聖剣使いが来ています!!」
その発表に僕らは驚いた。この国の聖剣使いが来るのはまだしも、ほかの国からも来るとは。それだけ勇者を………黒羽 仁を見る必要があるということだろうか。
「では紹介していきます!!ユーラシア連合からアリス・ワーノルド、アリスト王国から聖騎士フィオナ・クレセント、そして我が国の誇る鉄壁、大地 誠だーーー!!」
紹介されて立ち上がった3人は同じくらいの年齢の女の子2人と穏やかな表情の40代ほどの男性だった。
「さらにすごいサプライズです!!今回の大会で優勝した学校の参加者はこの3人と勝負することができます!!」
このことを聞いた選手は喜び声を上げている人が多かった。しかしこのルールは勇者の力を試すためのものだろう。そもそも優勝さえできないのならそこまでのものだと思い、優勝した場合は自分たちで戦い実力を把握する。おそらくそんなところだろう。
「では最後に今年の組み合わせを発表します。今年は奇数校と偶数校での総当たり戦とします。日程は………こうだっ!!」
そういうと会場にある巨大スクリーンに日程が映し出された
1日目 一高VS三高 二高VS四高
2日目 三高VS五高 四高VS六高
3日目 一高VS五高 二高VS六高
5日目 決勝戦
三日で総当たり戦を終わらせたところで一日休ませ、決勝戦の準備をするためにこのような日程なのだろう。僕としては初日の三高の選手の情報は不足して、五高の対策は一日も時間が取れない。厳しい戦いになりそうだ。
「それでは開会式をこれで終了します。皆さん明日からに備えて素晴らしい試合をしてください」
開会式が終わった後、僕たちは一高の宿泊施設に行きそこで六人目の参加者に出会った。
「よお、お前ら遅かったじゃねえか」
「何が遅かっただ。俺たちはお前にそんなことを言われる筋合いはない」
「雑魚は黙ってろよ。俺は校長たちに言ったんだぜ」
「今のは聞き流せないわ。音無君は雑魚じゃない」
出会って早々に言い争いを始めたのが最初に予選を合格した選手影縫 始だ。この人は名伏さんの特訓も一人でこなしていたらしく、生徒会のことを何とも思っていないらしい。
「君たち落ち着きたまえ。今は明日のことについて話そうじゃないか」
「明日のことなんて個人戦で俺が勝って、団体戦をこいつらが勝てばそれで2勝だ。特別戦はそれでやらなくて済む、違うか?」
「勝てるなら問題はない。だがそこまで言って負けたら恥ずかしすぎるぞ?」
「俺が学生ごときに負けるわけがないだろう。大した話がないなら部屋に行かせてもらうぜ」
そのまま彼は部屋から出て行ってしまった。
「雪白君、明日の相手のことは分かるの?」
「ええ、明日の相手は………………」
あれから対戦相手についての情報を教え、その対策を教えたところで今日は解散となった。僕は少し外に出たくなったので夕食を食べる前に出てみた。この町は様々な大会を開くために作られた町で、そういう理由があるために景観もきれいだ。
「こんなときに観光か?のんきなもんだな」
「君は………」
「お前の仕事を果たしてもらうぜ」
その言葉が僕の意識を断ち切った………
次回から基本視点が黒羽 蓮になります。