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赤の策 茶の演技

すみません。生徒会長の名前を間違えていました。都 静が正しい名前です。

 終業式の日に部室で僕を待ち受けていたのはかわいすぎる土屋とおぞましすぎる音無の2人だった。いったい彼らのかっこうの意味は!?部室に揃っている生徒会役員たちの目的は!?

 少し前までを振り返り今の状況について考えてみる。なぜか生徒会の人たちは僕のことを見ているし、黒羽達は助けてくれそうにもない。こうなったら僕が話し始めるしかないのか。


「ええっと、みな………」


「それじゃあ都さん、雪白君も来たことだし話を始めましょうか」


「そうね、音無君の着替えも終わったことだしね」


 最悪だ。僕が話そうとした瞬間に話を遮りやがった。この2人ねらってたな。


「まあま雪白君も落ち着いて、からかったのは悪かったから」


「別に僕は何とも思っていませんから。むしろ何が悪かったのかわかりませんね」


「じゃあ放っておくわね」


 僕の嫌味も軽く流されてしまった。


「雪白君は今まで補習を受けて知らなかっただろうからどうして生徒会の人たちがいるか説明するわよ?」


「ええ、お願いします」


「私たちは生徒会から新たな依頼として大会の予備選手となることになったのよ。つまり大会で誰かが参加できなくなった時に私たちの誰かが参加するの」


「そうなんだ。でもそれなら生徒会の人たちはどうしてここにいるんだい?依頼を受けたならここに来る必要はないだろう」


「それはね、雪白君には別の仕事を頼みたいのよ」


「別の仕事?」


「あなたにはほかの学校の選手を調べてその対策を練ってほしいのよ」


 なるほど、戦力になれない僕は裏方仕事で勝利に貢献できるのか。


「いいよ、そういう依頼なら受けさせてもらうよ」


「だ、そうですよ。都さん」


「ええ本当にありがとうね雪白君。勇者の対策(●●●●●)を考えてくれるなんて、本当に感謝しているわ」


 いま何か変なことが聞こえた気がする。いやきっと聞き間違いだろう。だが念のために聞き直しておかなければいけないだろう。


「会長さん、いま勇者の対策を考えるって聞こえたんですけど、僕の聞き間違いですよね?」


「いいえ、その通りよ」


 待て待て、僕が引き受けたのは他の学校の選手を調べてその対策を練ること。そこに勇者のことなんて………入ってた。補習ですっかり忘れてたけどたしかに選手で勇者が出るはずだ。

 どうやらはめられたらしい。最初の2人で気を抜いてしまったのが悪かったんだろうか。だがこれはできないことだ、断るしかない。


「まさか副部長ともあろうものが一度引き受けた依頼を断るなんてことはないわよね?」


「ええ、会長の私も雪白君との付き合いは短いけれどそんなことをする人ではまさかないでしょう?」


 ふっ、それで僕が断れないと思ったら大間違いだぜ。今まで色々と押し付けられてきたけど、いつまでも同じようになると思うなよっ!!


「すみません、さすがに勇者の対策は無理なので断らせてもらいます」


「本当に断るつもりなの?」


「ええ、聖剣の話を聞いただけでどうしようもできないことは分かりますからね」


「そう、それじゃあ茜ちゃんよろしくね」


 紅に対策を考えさせる気だろうか?


「わかりましたー。わたしの手にかかれば雪白君は必ずこの依頼を受けますよー」


 違った。どうやら僕を説得する気らしい。しかしそんなものはすべて無駄だということを教えてやらなければいけないな。


「紅、僕を説得しようっていうならそれは無駄としか言えないよ」


「いえいえ、私にも秘策がありますからー。奈々ちゃんちょっと耳を貸してくださいー」


「あ、なんだよ?」


(ごにょごにょ)


 紅が土屋に何かさせるつもりなのだろうが、僕は何が来ても断り続けるぞ。


「なるほどな、あまりやりたくはねえがしょうがないか」


 そういうと土屋は僕のそばまで来ると、ひとみを潤ませて僕を見上げて


「お兄ちゃん、おねがい!!勇者の対策を考えて!!」


 かわいいなでなでしたいだきしめたいこのこのおねがいをきいてあげたい

 はっ!!危なかった。危うくうなずくとこだったが、この程度では僕は負けないぞ!!


「お兄ちゃんが頑張るなら、奈々もいっぱいいっぱい頑張るから。2人で一緒に頑張ろう」


 この程度で負けな………


「お兄ちゃんが勇者の対策を考えてくれるなら、奈々がなでなでしてあげるよ?」


「任せろ!!勇者がいったいなんぼのものさっ!!今の僕にできないことはない!!」


 勇者がなんだ、聖剣がなんだ、そんなものおそるるに足らん!!


「さすが奈々ちゃんね」


「ええ本当にすごいわ」


「別に大したことじゃあねえよ」


「さすがに雪白君も耐えられませんでしたねー」


「おい、こいつらひどくないか?」


「これが彼女たちなんだろう。俺たちが気にすることではない」


「それにしてもあの人、なんだかすごい楽しそうですね!!」


「ええ、まるでクスリをやっているようですね」


「ああ彼なら気にしなくても大丈夫ですよ。後で正気に戻った時に後悔するでしょうけどその時はもう手遅れですから」


 彼らの話が耳に入ることなく僕はさっきのかわいすぎる彼女を思いうっとりしていたのだった。

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