予選終了 6人の合格者
やれやれまさか本当に全員を解放するとはね。いま僕の目の前では生徒会のメンバーが目を覚ましていた。
第4会場でやったことを解説すると名伏さんの魔道具『理想現実』の力によるものだった。この魔道具は簡単に言うと夢を作るもので、そこに1人ずつ入れられていたのだ。
「どうもみなさん、目は覚めましたか?」
「ええ雪白君、少しぼんやりしている人もいるけれど大丈夫よ」
「あれ、俺なにしてたんだっけ?」
「なんだかいい夢を見ていた気がします」
「まあ寝ぼけている人はとりあえず置いといて、みなさん予選通過おめでとうございます。ほかの参加者は全員脱落しているので、みなさんを入れた6人が大会出場となります。どうか一高の代表という自覚をもって大会に臨んでください」
「私たちを入れた6人?」
「ええ、実はみなさんより早く合格した人がいたので」
「しかし、そいつはどこにいるんだ?見当たらないようだが」
「彼なら合格するなり帰りましたよ。あと代表を誰がやっても構わないが個人戦には俺が出ると言ってました」
いや、本当にこれだけ言うと帰ってしまうから本当に驚いた。ちなみに紅が生徒会の相手をしなかったのは先に彼の相手をして休んでいたからだ。
「個人戦には出るって、まさか私たちに団体戦を丸投げするということ?」
「そうじゃないですか?」
「なんだと!!そんな勝手が許されるものか!!会長そいつを見つけてその根性を叩き直してやりましょう!!」
「落ち着きなさい音無君、その人は1人で私たちより早く合格しているのよ。個人戦に出るというのは別に間違った考えというわけではないわ」
「そ、それは確かにそうですが」
「きちんと考えてください音無君。別にこれから大会当日まで会わないというわけはないんですから、話す機会はいくらでもあります。そうですよね雪白君?」
「ええその通りです。あなたの言う通り合格した人にはこれから大会までこちらの名伏さんに鍛えてもらいます。その日程に関しては後ほど話し合ってください」
もしも生徒会の全員が合格した場合、いくら大会参加者とはいえ生徒会の人間が仕事をしないのは困るので、お互いに相談して決めるということにしてあったのだ。
「なるほど、他に何か大会に関係のあることで連絡はありますか?」
「いえ、僕からは以上です。あとは校長先生たちの出番ですので、何か質問があればそちらのほうにお願いします」
「そうですか、では『魔法について研究死体クラブ』に改めてお礼を言わせてください。あなたたちのおかげで私の考えもなんとかなりそうです」
「はい、あとで部員にも伝えておきます。ではこれから頑張ってください」
「ええ、大会はぜひ見てね」
「はい」
そうして僕は先に部室に戻ったみんなにどんな風に伝えるかを考えながら部室に歩いて向かったのだった。