生徒会長と白の穏やかな会話(?)
side 都 静
私は今、雪白君と2人でいた。しかし、今のところ何もなく、少し暇に感じるのであたりを警戒しながら話していた。
「それにしても雪白君も大変よね」
「えっ、何がですか?」
「だって君のいるクラブは個性豊かな人たちばかりじゃない。それに風宮君を内面で考えると実質君以外は女性のハーレム状態でしょう。何かと気を使うんじゃない?」
「ああ、そういうことですか。そういうことならば考えすぎだと言わざるを得ませんね」
「そうなの?」
「ええ、たしかに会長の言うとおりに大変なこともありますけど、それらも含めて結構楽しんでいるんです」
なるほど、その気持ちはよくわかる。今の生徒会だって大変じゃないなんてことはない、むしろ亮介以外は自分の実力があると思って入った人たちだから色々とあった。だからといってみんなの仲が悪いわけでもなく楽しくやっている。
そして私はそんな生徒会のみんなと一緒に今年の大会を優勝したい。そのために必要なことならば努力を惜しまずにやって見せる。
「ところで会長、そろそろ1人で夢から覚めたらどうですか?」
「いいえ、私にはまだやりたいことが残っているの。わかるでしょう」
「まさかわざとこの世界にとどまって、他にとらわれている人を全員助けようとするなんて思ってもいませんでしたよ」
「でも私が早い段階でそれを計画していたのに邪魔をしようとはしなかったわね」
そう、私はこの世界にとらわれてから何とかして全員を解放しようとしていた。私の予想が正しければ第4会場は他の3つの会場と違った意味を持っているはず。
そして雪白君は私がそれに気づいているにもかかわらず、強制的に目覚めさせようとしなかった。だから少なくとも私には全員を起こしてもいいという許可が出ている。
「それで会長あとどれくらいでできそうですか?」
「そんなにかからないわ、せいぜい3分といったところね。体力的にも問題はないから手を出さなくてもいいわ」
「そこまでお見通しですか。さすがですね」
「まあ生徒会長ですからね。それと今のうちに言っておくけれど、私からの依頼を受けてくれてありがとう。これでみんなには苦労させずに済むわ」
「とはいえそれも今回だけでしょう?来年以降に生徒会長が変われば結局、生徒会が予選を作って文句を言われるんじゃあないですか?」
「いいえ、そうならないために今回あなたたちに頼んで前例を作ったのよ。次からは先生たちに頼むためにね」
「なるほど、しかしそれがいいかと聞かれると何とも言えませんよ」
その通り、私がやっているのは彼が言うように生徒会のメリットになるわけじゃない、むしろそういう経験を奪っているのだろう。それでも私はやり通すけれど、彼らには迷惑をかけてしまったから何かできることがあったら手伝おう。
そして準備も終わった。
「それじゃあ、雪白君ここから出させてもらうわね」
「はい、大会頑張ってくださいね」
「ええ優勝して見せるわ」
そうして私の魔法が発動し、この世界から出たのだった。