生徒会の現状(会長を除く)
side 速水 亮介
おかしい、戦い始めて30分は経っているはずなのに体が疲れていない。それに土屋の攻撃は俺が防げるようなものばかりだ。彼女ならば一撃で倒せる魔法とまではいかなくても、けがを負わせることはできるはずなのにだ。おそらくそこに第4会場のルールか仕組みが隠されているのだろう。
それならば俺が今できることは………
「おいどうした、そんな無防備になるなんてよ。ついにあきらめたのか?」
「いや、あきらめてはいない。ただこうする必要があっただけだ」
そう、これからしようとすることは土屋の相手をしながらできることではない。集中するんだ………
「いったい何をする気か知らないが、遠慮なくやらせてもらうぜ!!《土の弾丸》」
土屋の放つ魔法が当たるが、やはり威力が低い。この程度ならば耐えられる。
「ちっ、まさか気づいてるのか?」
土屋が何か言っているのを感じたが今の俺には関係ない。もっと風を通して自分の感覚を広げる。今までの違和感の正体を確かめるために自分のすべてを探知に回す。そうして範囲を学校外まで届かせようとした瞬間に俺は今の状況を知った。
「なるほどな、道理でいろいろとおかしなことがあったはずだな」
「ああ?いったい何を言ってんだよ」
「いま俺の探知を学校外まで伸ばそうとしたところ、何もなかった。つまり隔離結界に近い状況にいるわけだな」
「おいおい、ちょっと待てよ。学校の外がないっていうけどそんなのはお前の魔法が妨害にあって感知できなかっただけじゃあないのかよ」
「もしそうならお前が俺の予測を否定する必要はないだろう。もしも妨害によって探知できていないならば、俺はそのことを理解していないということだからな」
「ちっ、まったくあたしはそういうのに向いてないってわかってたのによ。いいぜ、合格だよ先輩」
その言葉を最後に俺の視界は黒く染まった。
side 夕日 朝日
「それにしても、校長室に全然たどり着けませんね」
「ええそうですね。もしかしたら道を迷わせる魔法などがあるのかもしれません。注意してくださいね夕日さん」
「はいっ!!」
あれから2人で目的地である校長室を目指しているけれど全然たどり着けない。おそらく彼が言った通り何らかの魔法にかかっているのだろう。とりあえず彼と一緒でよかった。1人だとどうなっていたかわからない。
「このまま2人で頑張りましょうね!!」
「ええ、夕日さん。このまま校長室を目指しましょうね」
side 音無 宏太
「ほらっ、そっちに猫が逃げたわよ!!」
「わかってるよ!!ぬおーー!!」
「ちょっとなに逃げられて………ああもう見失ったじゃあない!!」
俺は今、依頼を受けて猫を捕まえようとしていた。さっきからあいつのおかげで猫を見つけるが、俺が捕まえられずに逃げられてしまっている。
「まったく、今度は失敗しないでよね!!」
「ああ、悪い。ええっと………」
まずい、名前が出てこない。いや、そもそも俺は彼女から名前を聞いたのだろうか。会長に言われてこいつと一緒に仕事をしているはずだが………
「ああっ、あそこに猫がいる。ほらさっさと捕まえるわよ」
「ああ、わかってる」
さきほど何か考えていた気がするけど、まあいいこの仕事をちゃんと終わらせるだけだ。
side 神無月 秋
まさか、学園の外がないとは。この状況からの脱出はどのようにすべきか考える必要がありますね。もしもこの空間が魔法によって作られた精神世界なら夕日さんと音無君は自力で脱出できなさそうですし。
………いや、会長がその2人に関しては何とかするでしょう。私は自分だけ脱出するとしましょう。