五日目の頼み………六日目へ向けて(友人)
「ねえねえ、最近ラジオがうまくいって調子に乗っている人。いくら自分が成功しているからってそんな態度だと友達無くすよ」
「乗ってねえよ!?」
「本当に?本当に一回も一寸も調子に乗らなかったって言えるのかい?」
「そ、それは………」
久しぶりの圭介いじりに精を出しながら昼食を食べる。まったくいきなり来ておきながら昼食をたかるなんていい根性してるよ。
「ま、まあそれは置いといてさ。ラジオに出る気はないか?」
「さっきも言ってたよね。いったいどうして僕がラジオに出ることになるんだい?」
「それなんだけどさ。俺がやってるラジオを知ってるか?」
「もちろんだとも。『初音と素人のお気楽ラジオ』だろう。毎回楽しく聞いているよ」
「そうなのか!!それは」
「水樹さんの声を聴くために毎回聞いているんだよ」
「そっちかよ」
「そういえばあれで出てくる素人っていらないよね」
「そんなこと言わないで!!」
まあ素人役で出ている圭介からしてみればあまり貶されたくは無いんだろうね。
「冗談だよ。君と水樹さんの会話を楽しく聞かせてもらってるよ」
「そうか………それでラジオの話なんだけどさ」
「ああ、僕に出てと頼むラジオはあれなのかい?」
「そうなんだ。今は大抵の学校で冬休みだろう?だから特別企画をやろうってことになってな。俺と初音さんでそれぞれ友達を呼ぼうってことになったんだ」
「………初音さん?」
「………そういうわけで俺も友達を呼ぶことになったんだけどさ今の学校の友達ってかなりやらかしそうなんだよ」
「初音さん?」
「そういうわけでやらかさないだろう透をラジオに誘ったってわけなんだよ」
「初音さん?」
「しつこいよ!!」
こいつ、人気アイドル声優を名前で呼ぶとはいったい何をしたのやら。前に見たときは頭を踏まれていたのに………まさか女王様と従僕の関係なのか!?
「違うからな!?お前が思っているような関係じゃあないからな!?」
「え?女王様と下僕?」
「予想以上に勘違いしてた!?普通に学校が同じな上に家が隣で仲良くなったんだよ!!」
「………」
「………」
『………』
こいつそんなどこかの恋愛ゲームみたいなことになっているだと?僕の方はリアルに人生の選択をしかけたっていうのに!!
「いいよ。ラジオに出ようじゃないか」
「そ、そうなのか?まあ出てくれるならよかったんだけど。ラジオの収録が明日なんだけど大丈夫か?」
「問題ないさ」
そう、問題なんて何もない。明日会うであろう水樹さんに圭介の昔のことを語っても何も問題なんてないよねえ?
その日は圭介から収録の場所を聞いた後、圭介の子供の時の写真などを探し回ったのだった。