三日目………人生の難問(赤)
あれから詳しい話を聞こうと僕の家に帰ることになったのだけど。その途中にも襲ってくる奴は後を絶たなかった。
襲ってくる奴の中にはそれなりの手練れが何人もいて今回ばかりはさすがにダメかと思うほどだった。
しかしなんとか無事に家に帰ることに成功し、少しの休憩を入れた後茜から話を聞くのだった。
「それで家出したっていうけど、その原因は何なのさ?」
「それはですねー、えーと」
「ここまで巻き込んでおいて原因を教えないなんてこと、できると思ってるのかい?」
「うう………わかりました。わたしが家出した理由はですね。お父さんに言われたんです『雪白君とはどこまで行ったんだい?』と」
「は?」
「それでわたしがまだ彼氏にもなってないんですよーと言ったら『そんなんじゃあ誰か知らない人に獲られてしまうぞ』と言われまして。その言葉についカッとなって言い争いになってしまったんです」
………僕はこの話にどこからツッコミを入れればいいのだろうか。いやここはなにも口を出さず聞くことに徹しておこう。
「それで最終的にお父さんと顔を合わせたくなくて家出をしたんです」
「………家出をしたのはいつからなんだい?」
「昨日からです。昨日も昼に透君の家に行ったのですが留守だったので別の場所で隠れていたんです」
つまりあの追手は1日経っても帰ってこなかった茜を心配した赤理さんが連れ戻すために送ったってことなのかな?
まあ年頃の娘が家出をして1日帰らなかったっていうのはなかなかに心配することなんだろうねえ。
とはいえ僕が口を出すのもどうなのだろうか。そもそも家出をした原因は僕と言えなくもない以上茜に家出をやめて帰った方がいいと言ってもきちんと聞いてくれるのだろうか?
まったく、こういう話はどうにも得意じゃない。好意を持たれるのは悪くないのだけどそのせいでこじれなくてもいい関係がこじれてしまうのは嫌なものだ。
とりあえず今も茜は家に帰りたくないのか引っ込みがつかなくなっているだけなのかだけでも聞いておこうか。
「茜はさ、いまでも家に帰りたくないのかい?」
「いえ、そういうわけではないんです。でも………」
「でも?」
「今回の原因は私が透君と何の関係も築けていないから起こったことです。なので少しでも進展が欲しいのです」
「………」
この話の流れはまずい気がする。
「だから透君。わたしは透君のことが好きです。私と結婚を前提に付き合っていただけませんか?」
………なんで冬休みの3日目に人生を変えるほどの問題が生まれるんだ。