三日目………続く波乱(赤)
結局押し切られて寒い街の中を目的もなく2人で歩き回ることになった。しかし茜はなかなかの美少女だというのになぜデートだと思いたくないのだろうか?
自分は正直に言って普通の男子高校生と同じで同世代の女の子には並々ならぬ関心がある。それは否定できない。
ならばなぜ茜とのデートを否定するのか………それは。
「お嬢ちゃん可愛いねえ」
「紅家当主の娘さんなんだろ?俺たちに恵んでくれよお!!」
「透君助けてくださいー」
グシャ!!
「へっへっへ、お嬢ちゃん占ってあげるよ。今日はお嬢ちゃんにとって………人生最後の日だよ!!」
「きゃー!!」
グシャ!!バキ!!
「おらは東北最強の火つかい!!くれな」
グシャ!!バキ!!ドシャアア!!
「もううんざりだ!?」
「どうしたんですか透君!?」
「どうしたじゃあないだろう!!なんなんだこの襲ってくる奴らの多さは!?」
およそ50人目を倒してから僕は我慢ができなくなって叫ぶ。最初はやけに好戦的なのが多いなあで済ましていたがこの多さはどう考えても異常だ。
そしてさっきから狙われているのは明らかに茜だ。茜がデートに誘ってきたときに茜を狙って多くの人が襲い掛かる。これは偶然なのだろうか?
「茜、いったいどうして今日僕をデートに誘ったんだい?」
「えっ?………そんなの透君とデートがしたくなったからですよー」
「茜?」
僕は真剣な顔で茜を見る。もしも茜が狙われる理由を知っているのだとすればそれを知ることで僕にも何か手伝えるかもしれない。
だから茜がごまかそうとしても今だけはごまかされるわけにはいかない。
僕のその思いが伝わったのか、茜はため息をついてから僕に向き合い話し始めた。
「はい。実はこうなることをわかっていながら透君を誘いました。申し訳ありません」
「それについては謝らなくていいよ。いま僕が気にしているのはなぜ襲われるのかだ」
「え、えっとですねー」
襲われる理由を聞くとなぜかためらい始める茜。しかもそれは僕を巻き込むことを拒む気持ちではなく、話すことが恥ずかしいという気がする。
しかしここまで巻き込まれたのだ。それに早期解決するためにも理由は知っていた方がいいだろうし。
というわけで教えてもらうとしよう。
「茜、教えてくれ」
「そ、そのですねー。聞いても呆れないでくれますかー?」
「もちろんだとも」
「ほ、本当に呆れちゃダメですからねー」
「絶対にあきれない」
そこまで言って僕のことを信じたようで茜はいったん息を大きく穿いて呼吸を整えてから理由を言った。
「じつはわたし、お父さんとケンカしましてー。いま家出中なんですよー」
「へ?」
「だから今日家に帰りたくないんです。今晩止めてくれませんか?」
「ええーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!?」