二日目………遭難中のゲーム?(茶)
「もう使われないのかと思ってたぜ奈々ー!!」
「………なにこれ?」
「これが見せなかった理由だよ」
やけに騒がしいトランプなんていう反応に困るものを見せられた僕は奈々に説明を求めた。
しかし彼女の顔もなぜか疲れた表情だったうえに見ればわかるだろうと言わんばかりの投げやりな説明に………すごく嫌な予感がするなあ。
「おいおいなんだよ奈々、見ない間に彼氏つくってこんな無人島に連れてくるなんてずいぶんと肉食系な女子になったもんだなあ!!」
「………黙ってろよトリック。透、こいつは『手品の聖剣・トリック』だ。見ての通り、というか聞いての通り意識を持った聖剣で能力は条件を満たすことで色々なことができるらしい」
「らしいとはまたあいまいな言い方だね」
聖剣の使い手なら手にしたときにその聖剣についてすべての情報が手に入るはずなのになぜそんなあいまいになるのだろうか?
「それについては俺が説明するぜ!!まず最初に言っておくが奈々は俺の完璧な使い手、いやもう生涯ただ一人の担い手といっても過言じゃあねえ」
「それはまたすごいねえ。しかしそれならなおのこと君について知り尽くしていないというのはおかしいだろう?」
「それがおかしくないんだよ。なんといっても俺は『手品の聖剣・トリック』、俺から情報を引き出すにも俺の力を使うにも俺の提示するゲームに勝たなきゃいけねえんだよ」
「それはまた………」
つまり奈々はゲームをしてないかゲームに勝つことができていないということか。
しかし奈々はそれなりにゲームができたはずだから挑んでないということはないはず。
つまりは………
「奈々は君に勝てないのかい?」
「今の奈々じゃあ無理だな。いくらなんでも経験が少なすぎるからな」
「経験?」
「おうよ。いくら才能があっても本当の意味での経験がないと勝てない。それが俺のゲームだからな!!」
ということはトランプゲームなのだろうか?ああいうのは確立だけじゃあなくて心理戦も大切だから奈々も勝てないのだろうか。
しかしそれなら僕がトリックとゲームをし、勝利したらどうなるのだろうか?
「ちなみに言っとくが俺のゲームは普通のトランプゲームとかじゃあないからな」
「僕が君に挑んで勝ったとしても力は使えるのかい?」
「その場合は色々と制限がかかるぜ。例えば透が負ける度に奈々にいろいろやってもらうとかな」
「さあ勝負だトリック!!」
「させねえよ!?」
トリックなら、トリックなら男の夢をかなえてくれるはずなんだ!!
そんな僕の願いは叶えられる前に叩き潰されるのだった。