一日目で相談………二日目で遭難(緑→茶)
「………そ、そんな私の考えていたプレゼントはダメだったんですか?」
「ダメというか重いよね」
彼女のできたことのない僕の話でも瞬の考えを変えることができたようだ。まあ瞬の考えていたようなプレゼントでも夕日さんが喜ぶ可能性はあるけれど彼女の性格的には委縮してしまう気がするしね。
しかし初戦は彼女のできたことのない独り身の想像。………なんかだんだん虚しくなってきたな。胸の奥が痛んできたし。
「そうですか。分かりました。今の話を聞いたうえで朝日さんが喜んでくれそうなものを探してみますね」
「まあ瞬なら夕日さんを喜ばすことができるさ。なんといっても僕の友達なんだからさ」
「………まったく、透はどれだけ自分を上に見てるんですか」
そう言いあって笑った僕らはその後少しどうでもいいことを話して盛り上がってから解散した。
僕の家から帰る瞬の後ろ姿からはきっといいプレゼントを選べるんだなと思えた。
冬休み2日目(12月11日)
男同士の友情を確かめ合った次の日。僕は真冬の12月に海に来ていた。
「本当に僕の目標は守れない運命にあるのかな?」
「平穏な日常よりも慌ただしい非日常のほうが楽しめるってもんだろう」
「そう思うなら自分だけで非日常を謳歌してくれ。僕は日常を愛しているんだ」
この日、僕は土屋家の所有する海で魔物が発生したということで奈々に無理やり転移魔法で連れてこられたのだった。
魔物自体は数が多くても一体一体は弱かったので無事に怪我をすることなく倒しきれたのだが………
「まさか帰るために発動させた転移魔法が暴走するとはな」
「転移魔法は想像しにくいから暴走しやすいんだよね」
そういうわけで僕たちはどこともわからない小島(面積およそ25平方メートル 周囲に見えるのは海と空だけで鳥の一匹もいやしない)に転移してしまった。
しかもこの島では魔力がかたよっていて茶色の属性色が一切ない島だった。
そのせいで奈々の転移魔法は使えず。僕の『転移の聖剣』はまだ修理が終わっておらず、誰かに連絡をとって助けを呼ぼうにも急に連れてこられたために連絡の取れる道具をもって来ていなかったのだ。
「しかしどうする?このままだと下手すると餓死するよ」
「こうなると分かっていたなら蓮もつれてきたんだけどな」
「そもそも僕じゃなくて蓮を連れてきなよ。僕は結局のところ魔道具と聖剣がなければただの人なんだよ。………そういえば奈々は聖剣を持ってないのか?」
悠が奈々の聖剣を見繕っているとは思うのだけどそういえば話を聞かないから忘れていた。
まあこの状況で使えるものじゃないのかもしれないけど。
「あー、あたしの聖剣か。いや、きちんと手に入れてもらったんだけどよ。なんというか個性が強いんだよ」
「個性?」
「見てもらった方が早いか。《目覚めろトリック》」
そうして聖剣の発動キーを唱えた奈々の手には………
「ひゃはははは!!ひっさしぶりのお目覚めだよー!!」
やけにテンションの高い(?)トランプが存在していた。