終幕 そしていつもの〇〇
結局僕らはあれから襲われることなく今回の事件は終わった。赤井 萌たちはアリスト王国の第3王女たちが発見し、保護に成功。しかし主犯であるスティフ・サーリーは国外に逃げた形跡がありとりあえずのところは終幕となったのだった。
ちなみに悠弥さんは事件が終わってから3日後に目を覚ました。およそ2週間ほど寝たきりだったので筋力などが若干落ちていたがまああの人ならすぐに問題なく復帰できるだろう。
さらにどうでもいいことだが黒羽 仁たちはスティフ・サーリーによって暗示をかけられていたようで、そういう事情もあって彼らは『勇者の聖剣』を没収することでこの件については不問にするということになった(まあ『勇者の聖剣』が『愛情の聖剣』に取り込まれたことを隠すための方便なのだが)。
そして僕はというと………
「ほら雪白あと半分だ頑張れ」
「あと半分って500枚はありそうな量なんですけど!?」
「元々千枚あったんだから当たり前だろう。ほら無駄口をたたいている暇があるならさっさと終わらせろ。私はお前が今日のノルマを終えるまで他の場所に行けないのだからな」
「他の場所に行けないと言いつつ、さっきからテストの採点をしているじゃあないですか」
「効率よくが私のモットーなのだよ」
………僕はまた補習の日々だった。しかも今回はテスト前からテストが終わってまでの間を休んでいたため過去にないほどの量の課題を与えられているのだ(具体的には一日千枚のプリントなど)。
どうして僕は事件が終わった後に補習を受けるのか。もはやそういう運命なのかと悩む日々である。
「………よし、確かに今日のノルマは終わったな。明日は全教科のテストだからまだ気を抜くなよ」
「最近の学校は僕を精神的に殺そうとしているとしか思えないんですけど」
「まあテストの翌日は終業式、つまりは冬休みに入るのだからいいだろう」
「………僕、夏休みが終わってからゆっくりと学校生活を過ごした覚えがないんですけど」
いつの間に12月になったのだろうか?まあ冬休みにこそゆっくりと魔道具を作りながら生活をしよう。
いきなり襲われることもなく、生死をかけた戦いをするでなくのんびりと、こたつにでも入って休むとしよう。
「まあ雪白は色々と広い交友関係を持っているからな。その分多くの厄介ごとを抱えることになるのだろう」
「はあ………まあ自分で選んだ友達ですからね。何があっても後悔しませんし、後悔しないように頑張りますよ」
結局、今の僕にはそれしかできないのだからね。