白の仕事と副会長の試練
予選が始まって1時間がたった今では、それなりの人数が脱落していた。100人ほどは第2会場に行っているが少し手間取っているようだ。なんといっても第2会場では参加者とお邪魔要員が鉢巻を付けており、参加者は鉢巻を3つもっていくことで合格となるのだ。
その性質上合格者同士での戦いが起こることも期待してある少し意地の悪いエリアだ。
ちなみにいま僕は第1会場にいる参加者たちに対して仕事をしている。校門に向かいそこで待っていると『学校の周りを20周走る』を引いた人たちが通るのでそこである提案をしていく。今のところみんなその提案を受けてくれているのでうれしい限りだ。また次の人がやってきた。
「どうもすみません、そこで走っている人」
「うん?俺のことか?ってお前は予選の説明をしていた奴じゃあないか」
「ええ、その通りです。僕はこの予選の作成にかかわっているのですが、実は今あなたがやっているくじに対して問題がありまして」
「問題だって?一体どういうことだ」
「実はその内容は絶対にクリアできないようになっているのです」
「なに!?それはどういうことだ!!」
「僕は止めようとしたのですがこの校門は予選が始まってから1時間半で閉まり、誰も入れないようになるのです」
「そんなことをしたら、外を走っている俺たちは」
「ええ、参加を続けることができません。ですから僕が皆さんに対してこのくじを渡して皆さんが第2会場に行けるようにしているのです」
僕が言ったことに嘘はない。実際に時間が来た時に校門を閉めるためにも僕はここにいるのだから。
「いや、断らせてもらう」
「えっ………」
「悪いが俺は生徒会の一員としてそういう話に乗ることはできない。制限時間があるなら時間までに終わらせるだけだ」
そういうと彼は走り出してしまった。あと20分ほどで完走する気なのだろうか。まあここで僕のくじを受け取った場合はお邪魔要員として第2会場に行くことになるのだけれどね。
しかし生徒会か…全員合格できるかな?
side 速水 亮介
予選開始から1時間、俺は織羽先生をいまだに見つけることができなかった。このままでは何もできずに終わるかもしれないと考えてしまいそうになるが、そんな弱気な考えは走ることで考えないようにする。
「校庭に穴を20メートル掘って埋めなおすのを10回やれだと!?ふざけんなよ!!」
「泡見先生のかつらを奪うだなんてできるはずないじゃない!!」
あたりからくじの中でも難易度の高いものを引いたらしい生徒たちの悲鳴が聞こえてくる。俺のはまだ楽なほうかもしれないと思ってきたが難易度が高すぎないかとも思う。
そのまま走っていると右手側から人が吹き飛ぶのが見えたのでそこに先生がいることに賭けて行ってみると確かにいた。
「これで分かったか貴様ら、いきなり女性に抱き付こうと集団で襲ってきたものがどうなるかということを」
いや、そこに倒れている人は全員気絶しているようなので聞こえていないだろう
「うん?そこにいるのは速水か、副会長のお前もまさかこいつらと同じ用できたわけではないだろうな?」
覚悟を決めよう。逃げてどうにかなるわけでもないし。
「申し訳ありませんが1分間抱き付かせてもらいます」
「嘆かわしいな、いくら予選の内容だとしてもやり方というものがあるだろうに。まあいい、そういうことなら全力でやらせてもらうぞ」
「こちらこそ本気でいかせてもらいます」
そう意気込んだところで何かが変わることもなく1分でぼこぼこにされてしまうのだった。