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詐欺&隠密

 透の胸に剣を刺した赤井は透を滅多刺しにして確実に殺した後どこかへと去っていった。

 去り際にも体の震えなどがなかったことから強化の時間切れがあるとしてもそう短いものではないのだろう。


 そのように透は地面に伏せっていたまま考えた。赤井がいなくなってから赤く塗れていた地面も透の体に剣が何度も刺さってできた穴も幻であったかのようにすべてが消えていった。


 いや、すべては幻だったのだろう。今までのことはどこからかは分からないがおそらく《テリトリー》によって見えているように錯覚させられたのだろう。



「何とかうまくいってよかった。《テリトリー》が通用しない可能性もあったから本当に怖かったよ」



 よく見れば透の体からは冷や汗が出ていた。この策が通用しなければ命がなかったことを考えるといくら透とはいえ精神を多大に削ったのだろう。



「しかしさっさと逃げるべきなのか。それとも気付かれない程度に敵を探るべきなのやら」



 この状況で逃げるだけではなく敵を探ろうというその精神。当然ながら探ろうとすれば逃げる以上の命の危険がある。

 それをわかったうえで透が選んだのは………



「黒羽家にどれだけの被害が出たかだけは調べるとしようか」



 透が今気になっていることは3つ。蓮たちが無事に逃げられたかどうか、黒羽 仁たちは全員があれほど強くなっているのか、そして黒羽 悠弥を含めこの本家で守りを固めていた人たちはどうなったかの3つである。


 とくに後半の2つは透のこれからに直結する重要なことだ。例えばさきほど手も足も出ず、プライドも捨て去って死んだふりをしてようやく助かったほどの相手である赤井 萌がもし勇者たちの中で一番弱かったとしたらどうだろうか。


 そうでなくても悠弥さんたちが全滅していた場合、もう黒羽家の支援を受けることは難しくなってしまう。


 それらのことを透は知る必要があった。せめて悠弥さんがどうなったかだけでも知っておかなければこれからのことを考えるのにも支障が出てしまう。

 そう考えたからこそ彼は慎重に誰にも気づかれぬように人がいそうな場所へと向かって行った。



「………はあ、はあ。この体ではさすがに厳しいかな。最悪の場合は『破滅の聖剣』でここら一帯を更地にしてから『転移の聖剣』で逃げるとしようか。まあそんなにうまくいくとは思えないんだけどね」



 最悪について考えておいても今の体では思っていた通りのことができるかわからない。

 それでも自分のためにも蓮たちのためにも進む必要があった。



 そうして透が見たものは………

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