第1会場 side 生徒会
side 都 静
まさかこんなに手の込んだことをするとは少し彼らを見くびっていたようね。
「会長、これからどうしますか?」
書記の音無 宏太君が私に聞いてきたが、今回のこれは団体での行動も個人での行動もどちらも難易度は変わらない、いやどちらでも変わらないように作られている。
いったいどうしたものかと考えていると副会長の速水 亮介が話しかけてきた。彼は生徒会とは別にこの学校でもかなりの規模のクラブにも参加していて、さらに状況判断もできる人だった。
私には具体的な考えが思いつけなかったが彼にはあるのかもしれない。
「静、今回は団体で動いたほうがいいだろう」
「どうして、亮介?」
「いま俺がくじを拾って開けてみたんだが、内容がこういうものだった」
そういって彼が見せた内容は『織羽先生に1分間抱き付く』だった。
これは先生に許可をとっているんだろうか?いやそれよりもこんな内容ならば捨てればいいのではないだろうか。雪白君は1つしか持てないといったがそれはつまり拾うときにくじを持っていなければ拾えるということだろうし。
「ちなみに、捨てようとすると自分の手に現れる。これはつまりルールの中にあった3回挑戦して失敗した場合のみということによるものだろう」
つまり亮介は3回も織羽先生に抱き付こうとしない限りくじはなくならないわけね。さらに合格するのは1人では難しいし、ほかの内容も同じような難度かもしれない。そうなると協力したほうが楽である可能性はある。
「決めたわ、これから全員で協力して合格する。みんなそれぞれくじをとって、近くでできるのから達成していきます」
「了解しました!!」
「了解した」
「わかりました」
「は、はい。頑張ります」
さて私のはいったいどんな内容かしら………これは、運がいいというべきなのかしら
「学校の周りを20周だって!?」
「陣野先生を笑わせるですか」
「やったー、あたりくじです!!」
音無君は大変なのを引いてしまったわね。会計の神無月 秋ちゃんもあの笑わないことで有名な陣野先生を笑わせるなんてどうすればいいのかしら。唯一雑務の夕日 朝日ちゃんはあたりを引いたらしいけど一応確認をしておきましょう。
「夕日ちゃん、あたりくじってどういう内容なの?」
「えっとですね会長、もうこのまま第2会場に行ってもいいみたいです」
「そんなんもあるのかよ!?くっそー、俺のは協力してもらうわけにもいかないぜ」
「そうですね。私もうまくいけばひとりで行けそうですね。会長のはどのような内容ですか?」
「私のは夕日ちゃんのと同じものよ。しかしこうなるといったいどうしましょうか?」
「神無月が一人でできるなら方針を変えてバラバラに行うべきだろうな。雪白は合格者の人数を言ったが、上限を超えた場合の選び方は言わなかった。先着順の可能性があるなら最速で合格できるように動くべきだろう」
「でもそうなると亮介が一人で挑戦することになるのよ?」
「俺一人に時間をかけるより少しでも合格者を生徒会から出すほうがいいだろう。俺が団体で動いたほうがいいといったのはそのほうが効率がいいと思ったからだ」
たしかに亮介の言うとおりね。最悪でも3回失敗すれば別のくじを拾える可能性はあるからなんとか合格はできるはず。
「なら別行動で行きましょう。亮介、音無君、神無月ちゃんみんな頑張ってね」
「「はい」」
「ああ、後で追いつくから先にいって待っていろ」
「了解、それじゃあ夕日ちゃん私たちは第2会場に行くわよ」
「はい、会長」
生徒会役員全員で合格して見せる!!