開始爆発
「なんで悠弥さんとあんなことを話した後にこんなことが起こるのかなあ」
「雪白 透、お前がいなければ仁は………」
「悪いけど僕からすればそれはこっちのセリフなんだよ。黒羽 仁さえいなければってね」
半壊した黒羽本家の中、雪白 透と赤井 萌は相対していた。
まがまがしい剣を持ちながら赤く染まった瞳で透をにらむ姿はすでに常人のそれとはかけ離れており、一般の人なら恐怖を抱いてしまうだろう。
どうしてこのような状況になったのか。話は透が黒羽 悠弥と話した2時間後にまで巻き戻る。
大爆発
それが黒羽本家への最初の攻撃であった。
その爆発は本来なら本家に設置された魔道具で防がれるはずだったのだがなぜか作動しなかったためその影響を普通に、当たり前に受けたのだった。
そんな屋敷の中透たちも当然ながらその影響を受けたのだった。
「………いきなり爆発とか最近は流行らないんじゃないかな?」
「どうですかね。もしかしたらこれから流行るのかも知れませんよ」
「その場合これからの流行を作るのは自分たちだとでも言いたいのかしら?」
「っていうか皆さん落ち着きすぎでしょう!!」
訂正。彼らは爆発の影響を受けていなかった。彼ら7人の周りだけ何もなかったかのように変わらずに存在していたのだった。
「まあ瞳いいじゃねえか。透と蓮がとっさに気付いたおかげで何の被害も出なかったんだからよ」
「そうですよー。気にしすぎると心臓に悪いですよー」
「いやいや、被害でまくりですからね!!家の半分近くが吹っ飛んでいますからね!!」
「そんなことは今はどうでもいいであろう。それよりこれからどうするのだ?やってきたであろう敵と戦うのか?それともこの場は逃げるのか?」
ディアのその問いかけに悩む5人。その中で一番最初に答えを出せたのはさきほど悠弥と会話をしてあらかじめ考えていた透だった。
「僕の家に逃げよう。この家がここまで壊れた以上は敵を撃退したとしても結局は使い物にならないんだから移動するだろうからね」
「でも透君の家ってここからかなり遠いでしょう?」
「それはこの転移装置を使えば問題ないよ。1回使うと1日は使えない未完成品だけど今はためらってる場合じゃないからね。でも敵はここに張ってある転移妨害の結界を壊さなかったらしいからまずは敷地から出ることを一番にめざそうと思う」
「そんなものがあるのなら悠弥殿に使用許可をとっておけ」
「僕も今それを後悔しているんだよ」
「それを言っても仕方がないわ。そんな後悔はここから逃げられてからよ」
そうして彼らは敷地内から出るために走り出したのだった。
これから先に何が待ち受けているかなど知りもせずに。