黒と赤の復活 白の策略
「そういうことだったのね………」
「でもそれならそれと言ってほしかったですよー」
「言ってたらこうはならなかったっていうのかい?」
「「うっ」」
まあとりあえずは父親に対する反感が無くなったようでよかったと思おう。
これで残りは悠弥さんたちをどうにかするだけか。
………それが一番の難問に思えるんだけどね。
「まあ蓮たちが父親への反感をなくした今、彼らを説得するのはそう難しいことではないだろう」
「そう簡単にいけばいいんだけどね」
「何か不安があるの?」
考えすぎの気がするけれど今の彼らを見ている限りはそんな的外れとも思えないんだよなあ。
まあディアたちに話してみてから感想を聞くとしようか。
「いいかいこれから僕が言うことを当事者だと思って聞いてくれよ」
「「「うん」」」
「あなたは友達と一緒に内密の話をするためにある店に行きました」
「ほうほう」
「その店には一般には知られていないのですが内密の話をするのには絶好の場所を提供している店です。しかしそれを隠すためにその店はメイド喫茶として店を開いています」
「なるほどー」
「その店に入ったらあなたたちの娘に出会いました」
「我にはまだ娘などいないのだが………」
「いると仮定してね。でその娘たちはあなたたちから目をそらし、店の入り口で挨拶をしたのに別の人にあなたたちの案内をしてもらいました」
「まあ気まずいわよね」
「娘たちに嫌われたと思って絶望していたあなたたちですがいくらか時間が経ってからその娘たちが笑顔でさっきのことなどなかったかのように接客に来ました」
「それはうれしいんじゃあないですかー?」
「しかしよく見れば娘たちは自分と目を合わせようとしてくれない。さらに自分の娘は自分に給仕をしてくれず、それぞれ親の給仕をしないようにされていたのだった」
「「「悲しすぎる!!」」」
やはりそういう感想を持つのか。蓮たちが反感を何とか無くしたとはいっても気まずくないかと言えばそんなことはないだろう。
ふと目をそらしたり距離を置いてしまうことだって十分に考えられる。となると下手に彼女たちを向かわせるのも怖いんだよなあ。
「しかし基本的に蓮たちでしか彼らは立ち直らないであろう?」
「そうだね。だから蓮たちに任せるんだよ」
「どういうこと?」
「今の問題は悠弥さんたちをどうにかして立ち直らせないといけないことともう1つ。彼らが暗すぎて客が減ってきていることだ」
「それを解決するために彼らを立ち直らせようとしているのだろう?」
ふふ、わかってないなあディアは。その2つの問題は切り離せることに気付いていないんだね。
「ほかの客たちと顔を合わせなくてもいい場所がこの店にはあるだろう?」
「「「ああ!!」」」