予選決定!!
僕の記憶がなくなっていることに心当たりのあるこの男性はいったい誰なのか校長先生の説明を聞くことになった僕たちだが、今いる校長室では少し狭いので部屋を変えることになった。
移動した先の部屋は選択授業などで使う教室となり僕らは円になって席に座ることとなった。
「では名伏君について説明をしますが、彼は私が魔法大会に参加する生徒を鍛えるために呼んだ人です。彼は白髪ですので属性魔法は使えませんがそれでも勝てる人は少ないというほどの強者なのです」
魔法が使えないのに強い、それはつまり僕がやっていたらしい、魔道具を使って戦うということだろうか?
「まあ、そういう理由で俺が呼ばれたわけなんだが、俺が鍛えることになる奴らをいったいどうやって決めるのかっていうのにも関われっていわれたもんだから、後でお前らに話を聞きに行くつもりだったんだよ」
なるほど、だからあの時校長先生はちょうどいいと言ったのか。
「それで黒羽さん、どのような内容にするか決まりましたか?」
黒羽は僕たちの考えた案について校長先生に語ったところ校長先生はしばらく何も返さずに考えだしたがどうやら答えが出たようだ。
「わかりました。そういうことならあなたたちはどのような関門を作るか、それと詳しいルールを作ってわたしか織羽先生、名伏君の誰かに渡してください。遅くとも1週間前までに出してもらえれば間に合うはずです」
「では予選はこのような形で行ってもいいのですね」
「はい、関門のほうがよほど問題にならない限りは今のままで大丈夫です」
「それではこれから作っていきますので失礼します」
「はい、頑張ってくださいね」
僕らはそうして部室に帰って行った。
「しかし雪白君。君のことを知っている人がこのタイミングで現れたことについてどう思う?」
「何らかの作為はあるかもしれないと思う。でもいったい誰が何を目的にしているかがわからない限り気にしても意味がないと思う」
「そんな心配はしなくてもいいぜ」
驚いた。僕たちは部室に入ってからドアを閉めたはずなのに名伏さんが部屋の中にいた。
「いいか、お前らが無駄な心配をしなくてもいいように言ってやるとだな。俺がここに来たのは、このままじゃあ魔法大会がひどくつまらないものになるから少しでも見れるものにしようとしただけだからな」
「それはいったいどういうことですか?」
「おいおい黒羽のお前は言われなくてもわかってるだろう?勇者のことだよ」
勇者?そんなお話の中に出てくるようなものが実際にいるとでもいうのだろうか。
「それとな、透の記憶についてだが俺は何も教えないからな」
「そんな!?どうして僕のことなのに教えてくれないんですか!?」
「時期が来れば分かるようになるからだよ」
時期が来れば分かるということは僕の記憶は誰かの思惑通りになくなっているということなのか?
結局僕はどうなっても自分に決定権がないと思い知ってしまった。