白と白の再会?
校長先生、それは学校の中での責任者的な立場であり先生たちの中で一番偉い人というのが僕の認識である。しかしここの校長先生は今まで姿を見せることはなかった。
なにやら別の仕事で忙しいということを聞いたがそんな人のスケジュールを知っている黒羽はいったい何者なんだろうか。
「それじゃあノックするわよ」
考えている間に校長室についたようだ。しかしなにやら校長室の中から嫌な感じがする。
まるでこの中に天敵がいるような、殺人鬼がいるようなそんな予感がする。しかし黒羽はそんなことを感じていないようで迷うことなくノックをした。
(コンコンッ)
「はい、どちら様ですかな?」
中から穏やかな声が聞こえてきた。この声の持ち主が校長先生だろうか?
「『魔法について研究死体クラブ』です。生徒会に頼まれた魔法大会の予戦について聞きたいことがあってきました」
「なるほど、それはちょうどいいですね。どうぞ皆さん入ってください」
「はい、わかりました」
いや、ちょっと待て。いままで黒羽だけしか話していないのにどうして他にも人がいると分かったんだ。
これが魔法学校の校長ということなのか?
僕の疑問が残ったままみんな部屋に入っていったので僕も後に続いて入るとそこには織羽先生と茶色の髪の60歳ほどの男性、そして白髪の男性がいた。
僕はその白髪の男性を見た瞬間にポケットに入れてあったナイフで反射的に刺そうとした。僕の記憶にないこの男を僕の体は知っていたようで、まるで親の敵のように殺そうとした。
(ドゴッ!!)
「がはっ!?」
「「「「雪白君!?」」」」
気が付けば僕は地面に背中から叩き付けられナイフも奪われていた。
「おいおい透、おまえこの距離で俺を殺すんならもっと考えて行動しなよ。そうじゃなきゃ痛い目見るだけだってわかってんだろ?」
やはりこの人は僕を知っているようだ。しかし僕のほうに記憶はないので聞くことにした。
「すみません、僕はいまいくつかの記憶をなくしていてあなたがだれだか知らないんです」
僕がそう言うと彼はなぜか僕をかわいそうなものを見るような目で見た後、同情するかのように僕の肩をたたいてきた。
いったい何故だ?
「そうか、透は相変わらず苦労してんだな。まああいつの弟子になった時点でお前が苦労するのは分かりきってたけど、記憶を封印されるとはな。いったい何を覚えていないんだ?」
「えっと、中学までのことと魔法に関することです」
「あいつはお前の根幹をなす記憶も封じたのか!?それはまたいったいどうなることやら」
この人は僕のことをどれだけ知っているのだろうか?それに僕には師匠がいてその人が僕の記憶を封印したというのはいったい何のために?
「まあそういうことなら、さっきのことは気にしないでやるよ。ついでに俺の自己紹介をしとくと俺は名伏だ。名前のほうはわけあって名乗れないが気にすんなよ」
「名伏君、知り合いとの話もいいですが仕事のほうもきちんとしてくださいね」
「わかってますよ。それに透だって『魔法について研究死体クラブ』の一員なんだろう?じゃあ俺はきちんと仕事をしているだろう」
仕事?そういえば僕はこの人を今まで学校で見ることがなかった。そんな人がここにいるということは何か理由があるんだろうけど………
「校長先生、どういうことか説明をしてもらえますか?」
黒羽が聞いてくれた。ナイスだ黒羽。
「ええもちろんです。説明させてもらいましょう」
僕と関係のあるこの人は何者なのかしっかり聞かせてもらいますよ校長先生