初めての依頼主は女性です
僕らのこれからの活動が依頼を受けて解決するというものになってから1週間がたち5月に入ったところで僕たちは暇だった。この1週間依頼は全く来なかったのだ。
「しかし暇ですね」
「そうだね。この状況を考えるに黒羽の作戦は失敗だね」
「ええ、この学校の男子生徒はどうにも高校生活を満喫しているようですね」
「風宮は優しいね」
「そんなことはありませんよ」
そうは言うがやはり風宮は優しいだろう。男子生徒が欲求不満ではないから黒羽達のような美少女と接点を持とうとしないと言っているのだから。
黒羽達はこの1週間で自信を無くしたのか最近はおとなしく、クラブでも発言することが少なくなってきている。
(コンコンッ)
「はい、開いていますよ」
「それじゃあ失礼させてもらうわね」
そういって入ってきたのは生徒会長の都 静さんだった。
「いったい生徒会長さんが何の用ですか?」
「このクラブが生徒からの依頼を受けて解決してくれるという張り紙を見たから来たのよ」
「ということは、僕たちに依頼があるということですか?」
「ええ、そうよ。生徒会長として頼みたいことがあるの」
生徒会長が僕らに頼みたいことがある。その内容はいったい何だろうか。 正直、生徒会にできなくて僕らにできるということが思いつかないのでそのまま聞くことにした。
「いったいどんな依頼なんですか?」
「実はね、もうじき高校選抜魔法大会の校内予選が開催されるのよ。その予選の内容は毎年生徒会が考えているんだけど、そうすると私たちに有利な内容で作っているんじゃあないかって批判が来るのよ。それで今年からはどこかに作ってもらおうと思ったのよ」
「なるほど、つまり僕らが予選の内容を考えて、さらに審判に徹して参加をするなということですか?」
「参加をするなとは言わないけれどだいたいそういうことね」
なるほど、そもそも魔法の使えない僕は予選に参加できないし、ほかの4人にしてもあまり参加に乗り気ではないだろう。
とはいえ僕の独断では決められないので、部屋の隅で固まっている3人に聞いてみる。
「黒羽、この依頼受けるの?」
「ふふっ、どうせ私は自意識過剰の女よね。こうやって誰にも見つからずひっそりと死んでいくんだわ」
話を聞いていなかったみたいだ。
しょうがないので、はるか昔に使われたという壊れたものの直し方を実践してみるとしよう。
「斜め45度でほどよい力でたたくっ!!」
(ドゴッ!!)
「いったーー!!」
さすが昔の知恵、見事に黒羽を直したらしい。
意識を取り戻した黒羽に生徒会長の依頼について説明をしたのちに、残りの2人も同じようにしたところで黒羽がどうするか決めたようだ。
「生徒会長さん、少し確認をしたいのですが予選で何か大がかりなものを使う場合その費用はどこから出るのですか?」
「それが必要なものだと認められれば、できる限り生徒会が払います。また会場の準備などは今までしていただいている業者の人たちがいますのでその人たちに頼むことができます」
「なるほど………そういうことでしたらこの依頼受けさせていただきます」
「本当ですか!!ありがとうございます。では予選の日程は5月の終わりから6月の初めまでの間に開催できるようにお願いします」
「わかりました、任せてください」
そう黒羽が言うと会長は部屋を出ていった。しかしこれから2、3週間で何とかできるのだろうか?