犬との遭遇(中)
あれからさらに2時間が経過し僕たちは50体の魔物を討伐した。
「それにしても、どうにも魔犬が多いですねー」
「そうね、たしかに今まで討伐した50匹のうち40までが魔犬だったものね」
たしかにそれは気になっていた。これはもしかすると面倒なことになるかもしれない。念のために準備しておこう。
「まあそろそろ帰るとしましょう」
「そうだな、一応このことを帰ってから報告しておけばいいだろ」
「そうですね、もし何かあるとしても私たちの手に負えない可能性が大きいですからね」
「じゃあー気を付けて帰ろー」
「そうだね、それじゃあ………」
ドゴッ!!
そのとき、僕に何かが当たり10メートルほど吹き飛ばされた
「雪白君!?」
「蓮さん!!気を付けてください。敵が見えません!!」
「いったいどこから来たんだ。何も感じねえぞ!!」
「雪白君は私に任せてくださいー。みんなは周りの警戒をお願いしますー」
やばい、意識が飛びかけた。今は紅が火属性の回復魔法をかけてくれているおかげで念のための準備も発動できそうだ。しかし、今は誰もあの魔物に気付いていないようだ。このままではまずい。
(紅!!)
「大丈夫雪白君?」
(回復魔法のおかげで何とか。それよりも僕を襲ったのはおそらく緑の中級魔犬だろう。空気の密度を変えて姿を消しているんだとおもう)
「なるほどー。みんな雪白君が言うには緑の中級魔犬で空気を操って姿を消しているみたいですー」
「なるほどね、瞬ちゃん何か対策はできる?」
「そういうことならば、風よあるべき場所に還れ《風の支配》!!」
さすが風宮、その魔法により周りの風景が変化したがそれはなかなかに絶望的と言える状況だった。なんと下級の魔犬がおよそ50匹、そしてほかの魔犬よりも一回り以上大きい奴がいた。
「これはちょっとまずいんじゃねえか?」
「そうね、いくら結界のおかげで死ぬ前に転送されるとはいえダメージは受けてしまうからね。できれば逃げたいんだけど」
「さすがにこの数からは逃げるのも難しそうですね」
これをどうにかするために、僕の準備が終わるまで時間を稼いでもらおうかな
「みんなこの状況をどうにかするために2,3分ほど時間を稼いでくれない?」
「時間を稼いだらどうにかなるの?」
「とりあえず数を半分ぐらいは減らせるはずだよ」
「それが本当ならしょうがねえ。あたしが時間を稼いでやるよ。そのかわりお前から借りたこの属性色を溜める魔道具を全部使わせてもらうぜ」
「ああ頼むよ土屋」
「おうよっ!!大地よ全てを守る城壁となれ《大地の城壁》!!」
その詠唱が終わった瞬間に地面から4枚の石版のような壁が現れ僕たちを囲んだ。
「どうだ、あたしの上級魔法は!!これで時間は稼げるだろ」
「さすが奈々ちゃん、雪白君もどうにかなりそう?」
「あと2分!!」
ドガッ!!
「これはあの中級の魔法!?」
「私の《風の支配》が効いている場所で風を使えるなんて!?」
「このままじゃあまずいですよー!!」
あと1分半耐えられるか!?