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紫の失態 灰色の挑戦

 紫原 瞳


 彼女のことについて僕が知っていることは少ない。僕が知っていることなんて精々が名前くらいのもので誕生日すら知らないことを考えれば彼女が僕のことを『師匠』と(表向きは)慕っていることのむなしさもわかるというものだ。


 僕がなぜこんなことをいまさらながらに考えているかというと、いやアレについては説明もしたくないのだけれども彼女の試練で問題が起こったのだ。

 彼女は僕が作った魔道具を自分なりに改良したつもりだったのだがどこかで魔道具に込めたイメージがおかしくなったために試練場へと行くことができなくなったのだ。

 そのため僕らは彼女の試練をクリアしたことになりライト君たちはディアを探し、僕は彼女に説教をしていた。




「すみませんでした」


「本当に反省しているならいいよ、ただ次同じことをしたら許さないけどね」


 どうやらライト君たちはディアを見つけたみたいだから説教もここらへんで終えておくか。

 まあ楽しい時間を提供するはずの彼女が実際には自分の勝手で、しかもそれを試すことも誰かに相談することもなく行い、その結果としてひどくつまらない、気分を悪くしてしまったのだからもっと言うべきことはあるのだけれどそれでライト君たちの気分を悪くしては本末転倒というものだろう。




「ん?ずいぶんと早く来たな」


「いろいろあってね。ところで星たちは来てないのかい?」


「あやつらはいま渋滞に巻き込まれていてな。どうやらあと30分ほどかかるそうだ」


「それは運が悪かったね」


 まあ星はともかくほかの2人は文化祭では色々とやりそうだから学校的にはよかったのかもしれないけれど。


「では我の話はこれくらいにしておいて試練場に連れて行くぞ。蓮、貴様はどうする?」


「もしよかったら見学させてもらいたいな」


「では行くぞ《解放》」






「ようこそお客様、我の試練場『国の縮図』へ」


 ディアの試練場、それは簡単に言うとチェスのボードだった。ディアの立っているところには黒の駒が、僕らのところには白の駒が置かれた盤面の中で僕らは彼女の試練の説明を受けた。


 今回の試練はどうやら単純なバトルだった。戦闘に参加する人数は何人でもよく、またこの場にあるものならば何でも使っていい。ただし一つだけ特殊勝利条件が存在する。


 ここに配置してあるキングの駒それを壊した場合、白ならディアが黒なら僕らが勝ちとなる。

 そしてキングの駒だけはその場から動かすことができず、また魔力を注ぐことである程度の破損を直したり駒の強度を上げることができるらしい。


 ライト君たちは今回3人だけで戦うことに決めたようだ。3人とも自分の力に自信があるのかどこか余裕のある表情をしている。




 とはいえこの場でディアに3人ではだめだと思うけどね。

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