簡素な決着 ミッション:あの子の笑顔を取り戻せ!!
「ひどい戦いだった」
「ひどいのは透君ですよっ!!」
涙目でそういう茜を見て少しは溜飲が下がった気がする。
「ごめんごめん許しておくれよ」
話は少し戻り人生ゲームの終盤において雪白 透が行った最悪のイカサマを話すとしよう。
彼が使える魔法は存在しない、彼の使える魔道具にはこの場をどうにかできるものはない。
ならば『技術』ならどうだろうか、現実を狂わせる《狂装白衣》ならばこの場をどうにかすることはできたのではないか。そう思った透は実際にそれを実行したのだ。
その結果、すべてのマスは透の思い通りに変えることに成功し勝利したのだった。
しかしそんなことをされ今までこのゲームを頑張って作っていた茜が悲しんだのでとりあえず次の相手である紫原 瞳をライトたちに探しに行かせ自分は茜を慰めようとしたのである。
「茜、本当にごめんよ。君の今までの努力を無駄にしてしまったのは本当に悪いと思っている」
「………本当ですか?」
「ああ、本当だ」
「じゃあ私の言うことを1つ聞いてくれますか?」
茜は最近僕によくそういうことを言うようになったよな。まあここで断ることなんてできないからなあ。
「僕にできることなら何でも言ってくれ」
「じゃあ許します」
しかし涙目での上目づかいっていうのはどうしてここまで男心をくすぐるのだろうか。茜と真面目に話をしなければならないと分かっているのだがどうにも集中できない。
「透君」
「!?」
な、なんでいきなり抱き付いてきたんだ!?
「わたしは透君ならわたしたち全員を幸せにできるしわたしたちは透君を幸せにできると信じています」
冷静になる、この話は動揺しながら聞いていい話ではない。だから僕は冷静に自分の思ったことを伝える。
「僕は僕だけが君たちを幸せにできるとは考えていないよ。君たちは他にも幸せにしてくれる人が現れるさ」
そう言うと僕から離れていった茜だがその顔にはなぜか笑顔が。僕はそんな笑顔になるようなことを言ったっけ?
「透君、変わりましたね」
「そうかな?」
「ええ、今までだったら透君は『自分は君たちを幸せにできない』と言ってたはずですよ。でも今は自分も幸せにできると言ってくれたわけですからね満足です」
「いや、それは」
「聞きませんよ、いいわけなんてー」
「いや、だから」
「ほら透君、瞳ちゃんなら今頃はクラブ棟の近くにいるはずですから行ってくるといいですー」
そう言ってどこかへと走っていった彼女を見ながら僕はため息をついたのだった。
まあ元気になってくれたのならよかったけどね。
「それじゃあ頑張ってくださいね『ハーレム王』さんー!!」
「その名で僕を呼ぶな!!」
雪白 透
職業 ハーレム王