白茶決着 次は誰だ!!
2回目の狙撃
それは僕としては最高のタイミングで行ったはずだった。
ただ一つ誤算をあげるなら………奈々の行動がその上をいっていたことだ。
最悪なことに奈々は僕が狙撃をしたのと同時に転移魔法を使いその場から消えてしまった。その後に続けてデコイが壊されていったのを確認してから僕はようやく自分の間違いに気づいた。
奈々は敵が複数いるならその場にとどまる人間じゃなくて迎え撃つ人間だった。
それをわかっていなかったことが今回の失敗の原因だ。しかも2回目の狙撃を偶然とはいえ避けた奈々は僕の居場所を見つけるために四方八方に魔法を放っている。
見つかるのは時間の問題だ。
………こうなると最後の手を使うしかないか。あれだけは使いたくなかったのだけど。
全く危なかったぜ、まさかあんなにたくさんの攻撃を仕掛けてくるとは。転移魔法を習得していなかったらたとえ移動を始めてても避けきれなかっただろう。
しかし状況はまだ好転しているわけじゃない。あいかわらずあいつの場所は分かっていないし、あぶりだすために行っている無差別攻撃だって疲れないわけじゃない。
このままじゃジリ貧だ、とはいえ透もそんなに悠長にはしていられないだろう。あらかじめ決めていた制限時間まではあまり猶予はない。
だからこそ次の攻撃はある意味総力戦、持てるすべてを出してくるんだろう。
そんなアイツと戦えるなんて嬉しいもんだな。いまなら透と決闘した茜の気持ちもわかるってもんだぜ。
若干気分がよくなっている。そうだからなのか目の前に色とりどりの綿あめが………綿あめ?………綿あめがなんで目の前を宙に浮いて漂ってるんだ!?
「な、なんだこれは!?透の攻撃なのか!?」
くっ、だとしたらその狙いは正しいというしかない。実際にあたしは意識の半分くらいは綿あめに奪われている。なんでこんなにうまそうなんだ!!
こうなったらこの場から転移して、!?
そんな考えを見透かしたように後ろからいきなりあらわれた気配に動揺したあたしは魔法を使うこともできずに鈴を奪われたのだった。
セーフ!!危なかったあ!!まさか奈々があんなに綿あめが好きだったなんて、今度買ってきてプレゼントしようかな?
とりあえずこれでようやく2人目撃破か、まだまだ先は遠いな。早くライト君たちに次の相手の特徴を教えるよう奈々に頼んでおくか。僕の個人的な頼みもあることだし。
そう考えた僕はまずしりもちをついている奈々に手を差し伸べたのだった。